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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
全身を覆う長い被毛が特徴のチベタン・テリアですが、チベタン・テリアを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、チベタン・テリアの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- チベタン・テリアの歴史やルーツ、英語名は?
- チベタン・テリアのオスとメスの体高や体重は?
- チベタン・テリアの平均寿命は?
- チベタン・テリアの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- チベタン・テリアはどんな性格、習性?
- チベタン・テリアを迎える際にかかる費用は?
- チベタン・テリアのしつけと社会化トレーニングのポイント
- チベタン・テリアに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- チベタン・テリアを飼うのに向いている人は?
- チベタン・テリアがかかりやすい病気と予防法は?
- チベタン・テリアの日常のお手入れ
- チベタン・テリアとの生活で注意すべきことは?
チベタン・テリアの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | チベタン・テリア |
英語名 | Tibetan Terrier |
原産国 | チベット |
分類 | 中型犬 |
グループ | 9G:愛玩犬 |
チベタン・テリア【英語:Tibetan Terrier】は、チベットが原産の中型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、「9G:愛玩犬」に属します。
チベタン・テリアの歴史は古く、紀元前から存在したといわれています。チベットの首都ラサのラマ教の寺院で「幸福を招く守護犬」として神聖化されていました。この犬を手放すと幸運が逃げるという言い伝えから、門外不出となって純粋性が保持されてきたと考えられています。
家畜を保護したり猟犬として活躍したり、長い被毛は夏に毛刈りをされてヤクの毛と混ぜて衣服となるなど、長い間チベットの地で親しまれてきました。
全体的な外貌がスクエアでイギリスのテリア犬に似ていることから「チベタン・テリア」の名称がつけられていますが、実際にはテリアのキャラクターを持っていません。1930年にイギリスで犬種標準が定められています。
チベタン・テリアのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは35.6~40.6cm、メスはオスよりわずかに小さい
体重:約10~14kg
チベタン・テリアは中型犬に分類されます。
チベタン・テリアの平均寿命は?
チベタン・テリアの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、中型犬の平均寿命は13.4歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
チベタン・テリアの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、チベタン・テリアの毛色はチョコレートあるいはレバー色以外は何色でも許容されるとあり、ホワイト、ゴールデン、クリーム、グレー、スモーク、ブラック、パーティ・カラー、トライカラーなどがあります。
コートは豊富で厚いダブルコート、全体的に長毛ですが頭部と四肢は特に長いです。
力強い体格で、外貌はスクエアの体躯です。尾は飾り毛が豊富で、背中の上で巻いています。
チベタン・テリアはどんな性格、習性?
チベタン・テリアは、犬種名にテリアとありますが、外貌が似ているだけで血統は関係ないため、テリア独特の気質は持ち合わせていません。家族と一緒にいるのが好きな愛嬌のあるコンパニオン・ドッグです。
人見知りをする傾向がありますが、人に優しく、気立ての良い活発な犬種です。
チベタン・テリアを迎える際にかかる費用は?
チベタン・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
チベタン・テリアは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。
ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、チベタン・テリアのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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チベタン・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。チベタン・テリアは普段から散歩だけでなく、ボール遊び用のおもちゃや、自由に走り回れるドッグランが近くにあると理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、チベタン・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
チベタン・テリアのしつけと社会化トレーニングのポイント
チベタン・テリアは、飼い主には忠実で賢いため、トレーニングは難しくないでしょう。
しかし人見知りをしやすく、警戒心から吠えやすい傾向もあるので、子犬の頃からたくさんの人に会わせて多くの経験をさせることで、過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
また成犬になると、長い被毛はこまめなブラッシングが欠かせなくなります。将来的にブラッシングがストレスにならないように、子犬の頃からブラシやコームに慣れさせておくようにしましょう。
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チベタン・テリアに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分程度を1日2回
✓運動量:多め
✓おすすめの遊び: ドッグラン、ボール遊び
穏やかで物静かな性格ですが、体力は豊富な犬種です。運動不足は問題行動の原因になりかねません。
ドッグランで自由に走らせる、ボール遊びなどを取り入れてストレス発散をさせるなど、十分運動をさせましょう。
チベタン・テリアを飼うのに向いている人は?
✓毎日のお手入れができる人
長くて豊富な被毛はもつれやすく、毎日のお手入れが理想です。全身を覆う被毛のお手入れは1回あたり20分以上かかることもあり、シャンプー後一般的なドライヤーをかけも30分以上かかります。定期的にお手入れに時間がとれる人が向いているでしょう。
✓子どものいる家庭でも大丈夫
チベタン・テリアは、穏やかな性格で子どもにも優しい犬種だといわれています。小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。とはいえ、トレーニングはしっかりと行いましょう。
チベタン・テリアがかかりやすい病気と予防法は?
チベタン・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまう小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は4段階に分けられ、重症だと外科手術による治療が行われます。
✓進行性網膜萎縮症
網膜に異常が起きて視力が低下する遺伝性の疾患です。治療法は現在のところなく、補助的治療で発症を遅らせたり、目の変性を抑えたりする目的で点眼薬やビタミン剤の投与が行われることもあります。夕方、夜間に動くものに反応しない、鈍い、においを嗅ぎながら歩くといった行動が見られたら動物病院に行きましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
チベタン・テリアがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
>愛犬の歩き方がおかしい!?膝蓋骨脱臼(パテラ)の原因と予防法について解説【獣医師監修】
>犬の耳が赤いのは外耳炎かも?原因や対処法、病院に行くタイミングについて解説【獣医師監修】
チベタン・テリアの日常のお手入れ
✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要
長い被毛はもつれやすく毛玉になりやすいので、1日1回ピンブラシやスリッカーブラシで毛玉を解きます。定期的にトリミングも必要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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チベタン・テリアとの生活で注意すべきことは?
✓関節に負担の少ない床材を選ぼう!
脚や関節への負担が大きいと股関節形成不全のような深刻なケガにつながります。自宅でも活発に動き回るので、身体への負担をできるだけ減らすために、滑りにくい床材にしましょう。肉球にかかる被毛を定期的にカットすることも滑り防止に有効です。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓暑さに注意!
チベタン・テリアは、チベットの荒々しい気候に強いコートを持っているため寒さに強い反面、日本の蒸し暑い気候は苦手です。特に晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、十分な水分補給や太い血管のある場所を冷やすなど、暑さ対策は万全に。