スムース・フォックス・テリアの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	スムース・フォックス・テリア
英語名	Smooth Fox Terrier
原産国	イギリス
分類	小型犬
グループ	3G：テリア

スムース・フォックス・テリア【英語：Smooth Fox Terrier】は、イギリスが原産の小型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、「3G：テリア」に属します。

スムース・フォックス・テリアの起源は古いと考えられていますが、詳細は不明で、18世紀頃から「フォックス・テリア」と呼ばれていたと考えられています。キツネを狩る猟犬としてだけでなく、サーカス団で曲芸犬としても活躍していました。

かつては毛色がキツネと似ていたことからハンターが誤射することがあったことや、ハウンドの役目もこなせるテリアが求められたことから、ハウンド犬種との交配がされて現在の三色の毛色になったといわれています。

また、スムース・フォックス・テリアをさらに他のテリアと交配して作出されたのがワイヤータイプのフォックス・テリアだとされています。

1876年にクラブが設立されると改良が行われ、20世紀に入ると世界的な人気犬種となりました。蓄音機に耳を傾ける『His Master’s Voice』のマーク、有名なビクター犬のモデルとなった犬種でもあります。

体高：オスは34～40cm、メスは32～39cm
体重：オスは7.3～8.2kg、メスは6.8～7.7kg

スムース・フォックス・テリアは小型犬に分類されます。

スムース・フォックス・テリアの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳となっています。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、スムース・フォックス・テリアの毛色は、白一色か、ホワイトが大部分を占めるホワイト地にタンあるいはブラック＆タン、ブラックのマーキングがあります。ブリンドル、レッド、又はレバー色のマーキングは好ましくないとされています。

コートは滑らかで、短い被毛が密生しています。

筋肉質かつスマートな体つきで、小さな体ですが骨量があります。
大きな三角形の耳は前方に垂れ、尾が直立しています。尾は断尾する習慣がありますが、近年では動物愛護の観点から行われない場合もあります。

スムース・フォックス・テリアは、非常に活動的で遊びやいたずらが大好きな陽気な性格で、家族と一緒にいることを好みます。

動きは俊敏で、怖いもの知らずな面がありますが、見知らぬ人には警戒して吠えることがあります。

スムース・フォックス・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	※ブリーダーによる
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

スムース・フォックス・テリアは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくとよいでしょう。

他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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スムース・フォックス・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。スムース・フォックス・テリアは運動量が多いので、とってこい遊び用のボールなどのおもちゃや、自由に走り回れるドッグランが近くにあると理想的です。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。スムース・フォックス・テリアのお手入れに必要なラバーブラシや獣毛ブラシ、シャンプーなどのケア用品もそろえておくとよいでしょう。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、スムース・フォックス・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。

迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。

そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

スムース・フォックス・テリアは、狩猟犬由来の独立心の高さやテリア種ならではの頑固さがあるため、トレーニングには根気が必要です。しかし陽気で遊びが大好きな性格なので、愛情を持って一貫性のあるトレーニングをすれば非常に優れた家庭犬になります。

また人見知りをしやすく、警戒心から吠えやすい傾向もあるので、子犬の頃からたくさんの人に会わせて多くの経験をさせることで、過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

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✓散歩：30分程度を１日２回
✓運動量：多め
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ボール遊び

小型犬ですが、スタミナ豊富な犬種です。運動不足は問題行動の原因になりかねないため、十分に運動をさせる必要があります。自由に走り回れるドッグランに連れていく他、ボール遊びなど体力を消費するような運動でしっかりと運動量を確保しましょう。

✓テリア犬種の特性を理解し、しつけができる人
スムース・フォックス・テリアはテリア犬種ならではの、頑固さや自己主張の強さがあります。テリアの特性を理解して、辛抱強く付き合える人がよいでしょう。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
スムース・フォックス・テリアは小さな体ですが、猟犬だったこともありパワフルでスタミナ豊富な犬種です。小走りを交えた散歩や、ボール遊びで走らせるなどして、毎日十分な運動をさせてあげられる人がよいでしょう。

スムース・フォックス・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや感染性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。

✓白内障
目の水晶体が何らかの原因で変性し、白く濁ってしまう疾患です。6歳以上で発症するものは老齢性ですが、2歳までに発症する場合は遺伝的な要因が考えられます。予防法はなく完治できませんが、早期に治療を始めることで進行を遅くすることができます。

✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまう小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は4段階に分けられ、症状によっては、外科手術による治療が推奨される場合もあります。

スムース・フォックス・テリアがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
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✓ブラッシング：毎日
✓シャンプー：１カ月に1回程度
✓トリミング：不要

コートは短い毛ですが抜け毛が多いので、こまめにラバーブラシなどで抜け毛を取り除きましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯みがきは毎日～３日に1回、、爪切りは１カ月に1～２回程度の頻度で行います。肛門腺絞りのタイミングはかかりつけの獣医師に相談して実施してください。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

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✓脚・関節に負担をかけない
脚や関節への負担が大きいと関節炎や膝蓋骨脱臼につながります。スムース・フォックス・テリアは自宅でも活発に動き回るので、身体への負担をできるだけ減らすために、滑りにくい床材にしましょう。

✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに！
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。

✓事故予防にトレーニングはしっかりと！
スムース・フォックス・テリアは、猟犬由来の怖いもの知らずな一面があります。自分より大きな犬に対しても臆することなく向かっていくなど、特にオス同士は激しいケンカになりやすいため、ドッグランなど他の犬と一緒にいるときは目を離さないようにしてください。しっかりと犬の興奮をコントロールできるようトレーニングし、興奮しそうな状況は速やかに離れるようにしましょう。