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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
長いコートで覆われた垂れ耳が特徴のスモール・ミュンスターレンダーですが、スモール・ミュンスターレンダーを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学准教授の福山貴昭先生に教えていただいた、スモール・ミュンスターレンダーの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- スモール・ミュンスターレンダーの歴史やルーツ、英語名は?
- スモール・ミュンスターレンダーのオスとメスの体高や体重は?
- スモール・ミュンスターレンダーの平均寿命は?
- スモール・ミュンスターレンダーの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- スモール・ミュンスターレンダーはどんな性格、習性?
- スモール・ミュンスターレンダーを迎える際にかかる費用は?
- スモール・ミュンスターレンダーのしつけと社会化トレーニングのポイント
- スモール・ミュンスターレンダーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- スモール・ミュンスターレンダーを飼うのに向いている人は?
- スモール・ミュンスターレンダーがかかりやすい病気と予防法は?
- スモール・ミュンスターレンダーの日常のお手入れ
- スモール・ミュンスターレンダーとの生活で注意すべきことは?
スモール・ミュンスターレンダーの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | スモール・ミュンスターレンダー |
英語名 | Small Munsterlander |
原産国 | ドイツ |
分類 | 中型犬 |
グループ | 7G:ポインター・セター |
スモール・ミュンスターレンダー【英語:Small Munsterlander】は、ドイツが原産の中型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、獲物を探し出して、その位置を静かに示す猟犬「7G:ポインター・セター」に属します。
スモール・ミュンスターレンダーの起源は明確になっていませんが、19世紀初頭から繁殖が始められた考えられています。
ドイツ・ミュンスターランド地方で、優れたポインティング能力と嗅覚、回収能力を持った長毛のスパニエル種とジャーマンポインターとの交配によって作出されたラージ・ミュンスターレンダーをもとに、さらにスパニエル犬種を数種掛け合わせて作出されたといわれています。
鳥やウサギのにおいを追いかけて獲物を見つけて主人に合図するポイントだけでなく狩り(ハント)もこなし、主人が猟銃で獲物を仕留めるとそれを回収するレトリーブもする多才な猟犬です。
勇敢で、獲物に対して粘り強く情熱的に取り組み、悪天候にも強いタフな性質は、優れた狩猟犬としてハンターから絶大な信頼が寄せられてきました。
別名クライナー・ミュンスターレンダー(英語:Kleiner Munsterlander)、ドイツではスピオン(英語:Spion)の愛称でも親しまれています。
スモール・ミュンスターレンダーのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは54cm、メスは52cm
体重:約18kg~27kg
スモール・ミュンスターレンダーは中型犬に分類されます。
スモール・ミュンスターレンダーの平均寿命は?
スモール・ミュンスターレンダーの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、中型犬全般の平均寿命は13.4歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
スモール・ミュンスターレンダーの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、スモール・ミュンスターレンダーの毛色は、ブラウン&ホワイトまたはブラウンローンで、ブラウンの斑紋や小さな斑点があり、マズルや目、肛門の周囲に見られるタン色のマーキングは許容されるとあります。
コートは光沢があり、直毛かわずかにウェーブがかって密生しています。
力強くバランスのとれた体格です。頭部は細長く、口吻(マズル)は鋭角的、立ち姿のアウトラインは流れるように優雅で、尾は水平に保持されます。
耳はあまり長くなく、長い被毛に覆われています。
スモール・ミュンスターレンダーはどんな性格、習性?
スモール・ミュンスターレンダーは、明るく感情表現が豊かで社交的、穏やかで安定した性格です。
人と一緒に狩りをしてきた歴史から、人間が大好きなので番犬には向きません。家族に対しても愛情深く、優しく接することができるため、家庭犬に向いています。
しかし、狩猟欲や作業欲、運動欲求が非常に高いため、多くは実猟犬として飼育されています。
冷静な判断力を持ち、賢く学習能力も高いため、狩猟犬としてだけでなく家庭犬としても優秀です。
スモール・ミュンスターレンダーを迎える際にかかる費用は?
スモール・ミュンスターレンダーを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
スモール・ミュンスターレンダーは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。
また、常に子犬が産まれているとは限らないため、スモール・ミュンスターレンダーのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくとよいでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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スモール・ミュンスターレンダーを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。スモール・ミュンスターレンダーは猟犬由来の賢さがあるので、ゲームやボール遊びの他、近くにドッグランがあるなど自由に走れる環境があるとストレスの解消にもなります。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、スモール・ミュンスターレンダーを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
スモール・ミュンスターレンダーのしつけと社会化トレーニングのポイント
スモール・ミュンスターレンダーは、飼い主に従順で勤勉なので、トレーニングは得意です。投げたものを取って持ってこさせるトレーニングを入れると、エネルギー発散にもなります。
家族以外の知らない人を警戒することがあるので、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの良い経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
また人間と一緒に猟をしてきた犬なので、基本的に人が大好きです。反面、飼い主への依存心が高く分離不安になってしまうケースがあるため、子犬の頃から適切なトレーニングを行いましょう。
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スモール・ミュンスターレンダーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:1時間程度を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ドッグスポーツ
野山を一日中走り回って仕事をしてきた犬種なので、体格以上にスタミナ豊富で活発な犬種です。歩くだけの散歩だけでは満足しないため、ドッグランで走らせたり、ボール遊びをしたりするなど、できるだけ体力消費をするような運動ができるとよいでしょう。
また運動能力、作業意欲も高く、さらに人間との共同作業が好きなので、飼い主と一緒に楽しむことができるドッグスポーツもおすすめです。体力だけでなく、頭を使うような宝物探しのようなゲーム取り入れるとよいでしょう。
スモール・ミュンスターレンダーを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
スモール・ミュンスターレンダーは穏やかで友好的な性格なので、誰とでも仲良くできる犬種だといわれています。大家族のご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。とはいえ、事故防止にしっかりトレーニングを行いましょう。
✓十分な運動をさせてあげられる環境
スモール・ミュンスターレンダーはスタミナ豊富な犬種です。散歩に加え、ドッグランで自由に走らせたり、ドッグスポーツや宝探しゲームなどを取り入れたりするなど、毎日十分な運動をさせてあげられる人がよいでしょう。
✓一緒にアウトドアを楽しめる人
優秀な猟犬として活躍するだけあって、活動的で好奇心旺盛な性質です。さらに飼い主と過ごすことが大好きなので、日常的に野山へ出かけて一緒に楽しめる人がよいでしょう。
スモール・ミュンスターレンダーがかかりやすい病気と予防法は?
スモール・ミュンスターレンダーがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
✓股関節形成不全
成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満が病気を助長することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓熱中症
スモール・ミュンスターレンダーは寒冷な地域で生活をしてきた犬種のため、日本の蒸し暑い気候は苦手です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、十分な水分補給や太い血管のある場所を冷やすなど、暑さ対策は万全に。
スモール・ミュンスターレンダーがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
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スモール・ミュンスターレンダーの日常のお手入れ
✓ブラッシング:週2~3回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
スモール・ミュンスターレンダーの抜け毛は多くありませんが、定期的にラバーブラシなどで抜け毛を取り除きながらマッサージも兼ねたブラッシングをして清潔に保ちましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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スモール・ミュンスターレンダーとの生活で注意すべきことは?
✓小動物との同居に注意
スモール・ミュンスターレンダーはウサギやネズミを追いかけて捕まえていた狩猟本能があるため、ハムスターや小鳥などの小動物との同居には注意が必要です。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓運動不足に注意!
膨大な運動量が必要な犬種です。運動不足は、問題行動の引き金になるだけでなく、肥満の原因にもなります。さらに作業欲(狩猟欲)も強い犬種なので、毎日のアクティビティには、体力だけでなく知力も消費するような遊びを取り入れるとよいでしょう。