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酪農学園大学獣医学群獣医学類卒業後、動物病院勤務。小動物臨床に従事。現在は獣医鍼灸師の資格を得るために鍼灸や漢方を用いた中医学による治療を勉強中
犬は飼い主との引っ張り合い遊びが大好きです。おもちゃやロープなどを使って引っ張り合い遊びをすると、愛犬は喜びます。今回は、犬との引っ張り合い遊びに期待できる効果や上手に遊ぶ方法、注意点などを紹介します。
また、引っ張り合い以外で犬と楽しめる室内での遊びも紹介しますので、ぜひ愛犬とのスキンシップやトレーニングとして取り入れてみてください。
目次
- 犬との引っ張り合い遊びに期待できる効果
- 犬と引っ張り合いで上手に遊ぶ方法
- 犬と引っ張り合い遊びをするときの注意点
- 犬と引っ張り合い遊びを始める時期
- 引っ張り合い以外で犬と楽しめる室内での遊び
- まとめ
犬との引っ張り合い遊びに期待できる効果
普段から、愛犬と引っ張り合い遊びをしている方も多いのではないでしょうか。犬との遊びのなかでも、引っ張り合い遊びは特にメジャーです。引っ張り合い遊びには、次のような効果が期待できます。
・愛犬のストレス発散になる
・犬と飼い主のスキンシップになる
・くわえたものを離す練習になる
・クールダウンのトレーニングになる
犬との引っ張り合い遊びで期待できる効果について、ひとつずつ内容を見ていきましょう。
愛犬のストレス発散になる
引っ張り合い遊びは、愛犬のストレス発散になるのが大きな効果です。犬も、人間と同じようにストレスが溜まります。特に次のような日はストレスが溜まりやすいので、解消してあげなくてはなりません。
・雨の日
・長時間留守番をさせる日
外で十分に遊べないとストレスが溜まりがちです。また、長時間の留守番によって強いストレスを感じる犬もいます。愛犬のストレスを溜めないよう、引っ張り合い遊びを上手に活用しましょう。
犬と飼い主のスキンシップになる
引っ張り合い遊びは、ストレス発散だけでなく、犬と飼い主のスキンシップにも役立ちます。また、引っ張り合い遊びを通じて、愛犬との信頼関係を深められるでしょう。
スキンシップになるよう、上手にできたら犬をなでて、褒めてあげてください。信頼関係を深めるためには、飼い主も一緒に楽しむのが大切です。ぜひ、愛犬と一緒に楽しく引っ張り合い遊びをしてあげてください。
くわえたものを離す練習になる
引っ張り合い遊びは、くわえたものを離す練習にもなります。「終わった合図でおもちゃを離したらおやつ(フード)を与える」を繰り返してみましょう。合図を聞いてくわえたものを口から出せるようになると、噛みついたとき・誤食したときに役立ちます。
ただし、すぐに覚えられるようになる犬ばかりではありません。犬によっては、合図に合わせてくわえたものを出せるようになるまでに時間がかかるかもしれません。それも個性です。諦めず、根気よく教え続けてみてください。
クールダウンのトレーニングになる
引っ張り合い遊びは、クールダウンのトレーニングになるという効果もあります。クールダウンのトレーニングをしておくのは大切です。普段の生活で興奮したときにも、落ち着かせやすくなるでしょう。遊んでいるうちに、愛犬が興奮している様子を見せることがあります。
・犬が引っ張り合い中にうなる
・犬がおもちゃを引きちぎろうとする
そんな様子が見られたら、一度クールダウンさせる習慣をつけましょう。
犬と引っ張り合いで上手に遊ぶ方法
犬と引っ張り合いをして上手に遊ぶ方法を紹介します。安全に楽しく引っ張り合いをするにはコツが必要です。愛犬が興奮しすぎたり、飽きたりしないよう、飼い主が工夫を凝らしましょう。引っ張り合い遊びの方法を4つのステップにわけて見ていきます。
大きめのおもちゃを持って犬に見せる
まずは引っ張り合い遊びで使う、大きめのおもちゃを持って犬に見せます。大きめのおもちゃを使うのは、噛まれないようにするためです。
犬が人の手を噛む癖がある場合は、リードをつけたうえで、おもちゃの端を持ちましょう。犬から遠い場所を持つようにすると、噛まれるリスクを減らせます。
噛まれそうになったらおもちゃを反対の手に持ち替えてください。子犬・成犬を問わず、噛まれないよう注意が必要です。
おもちゃを動かして犬の興味を引く
引っ張り合い遊びに慣れていないうちは、おもちゃを見せても反応が薄いかもしれません。そこで、おもちゃを持ったら生き物のように動かして、犬の興味を引きます。
興味を持った犬がおもちゃに噛みついたら、軽く引っ張ってみましょう。犬も引っ張り返すようなら成功です。力を入れたり緩めたりして、犬が遊び続けるようにします。このとき、強い力で引きすぎないようにしてください。
犬が興奮したらおもちゃとフードを交換する
引っ張り合い遊びを楽しんでいるうちに、犬が興奮してくるでしょう。次のような状態だと、犬が興奮していると考えられます。
・うなる
・おもちゃを引きちぎろうとする
こうした様子が見られたら、噛まれないようにしつつフードやおやつを握って匂いを嗅がせてみてください。最初は興奮していても、やがて匂いに気づくはずです。匂いに気づいて犬がおもちゃを離したら、褒めてフードを与えましょう。
引っ張り合い遊びとクールダウンを繰り返す
「引っ張り合い遊びをする」「興奮したらおもちゃとフードを交換する」を繰り返します。様子を見ながら、犬が飽きるまえに引っ張り合い遊びを終了させましょう。
ずっと引っ張り合い遊びを続けていると、犬が飽きてしまいます。飽きてしまうと、犬が「つまらない」と思ってしまい、引っ張り合い遊びをしなくなるかもしれません。犬が楽しんでいるうちに切り上げてください。
犬と引っ張り合い遊びをするときの注意点
スキンシップにも役立つ引っ張り合い遊びですが、注意点もあります。覚えておきたい注意点は以下の4つです。
・愛犬の体に合ったロープやおもちゃを使う
・歯や首を痛めないようにする
・愛犬を興奮させすぎないようにする
・安全な場所で遊ぶ
それぞれ詳しく紹介します。
愛犬の体に合ったロープやおもちゃを使う
引っ張り合い遊びには、愛犬の体に合ったロープやおもちゃを選んであげましょう。硬いおもちゃは、犬との引っ張り合い遊びには向きません。歯や歯茎などを痛めてしまうおそれがあります。なるべく歯や歯茎に負担がかからないようなロープやおもちゃを選んでください。噛まれないよう、持つスペースに余裕のあるおもちゃを選ぶのも大切です。
また、おもちゃを噛む部分のサイズもチェックする必要があります。なぜなら、くわえたおもちゃが口から取れなくなる可能性もあるからです。安全に遊べるようなおもちゃを選びましょう。
歯や首を痛めないようにする
引っ張り合い遊びをするときは、犬の歯や首を痛めないようにするのも大切です。ロープやおもちゃを強く引いてしまうと、犬の歯が抜けてしまうおそれがあります。また、おもちゃを真上に強く引くと、犬が首を痛めてしまうかもしれません。引っ張り合い遊びでは、おもちゃの引っ張り方・角度・力加減などに注意しましょう。
愛犬を興奮させすぎないようにする
引っ張り合い遊びでは、愛犬を興奮させすぎないようにしましょう。「犬が興奮したらクールダウンする」を徹底してください。犬が興奮しすぎると、人間に噛みついたり、走り回ってケガをしたりするおそれがあります。興奮しすぎていないか、確認しながら遊びましょう。
安全な場所で遊ぶ
屋外・屋内とも、安全な場所で遊ぶのも引っ張り合い遊びでの大切なポイントです。屋外なら、周囲の人や犬などにぶつからないような場所を選んでください。また、屋外ではリードが必須です。広い場所であっても、必ずリードをつけましょう。屋内の場合は、滑って転びやすいような場所は避けてください。
犬と引っ張り合い遊びを始める時期
犬との引っ張り合い遊びは、歯の生え替わり期である生後3か月ごろを目安にスタートしましょう。犬は、歯の生え替わり期になると口のなかがむずがゆくなり、噛むことを好むためです。歯が生え替わっていないうちは、弱めの力で遊んでください。引っ張り合い遊びは人や物に対する噛み癖の予防にも役立ちます。
引っ張り合い以外で犬と楽しめる室内での遊び
愛犬との信頼関係を構築するのに役立つのが、室内での遊びです。引っ張り合い遊び以外にも、次のような室内での遊びがあります。
・レトリーブ遊び
・知育玩具遊び
愛犬が引っ張り合い遊びに飽きるのを防ぐためにも、ほかの室内での遊びも見ていきましょう。
レトリーブ遊び
室内でも楽しめるのが、レトリーブ遊びです。レトリーブ遊びとは、ボールやおもちゃを投げて、飼い主のところまで持ってくる遊びを意味します。
「ボールでは遊んでいるものの犬が持ってこない」という方も多いのではないでしょうか。投げたボールを持って来るよう教えるには、おやつを使うと効果的です。
犬におもちゃを投げて、飼い主のところへ持ってきたら褒めておやつと交換してあげましょう。繰り返しているうちに、投げたボールやおもちゃを持ってくるようになります。少しずつおやつなしでも遊ぶようにしてみてください。
知育玩具遊び
室内なら知育玩具を使って遊ぶ方法もあります。考えながら遊べるおもちゃが知育玩具です。放り投げたり転がしたりして音が出る、おやつが出るなど、知育玩具にもいろいろな種類があります。ストレスの解消にも役立ちますので、犬との遊びには知育玩具も取り入れてみましょう。
知育玩具は留守番中のひとり遊びにも使えます。ただし、使用にあたっては思わぬ危険が潜んでいるかもしれません。慣れないうちは人が見ているところで遊ばせるようにしてください。
まとめ
犬との引っ張り合い遊びには、楽しいだけでなくさまざまな効果が期待できます。愛犬とのコミュニケーションだけでなく、トレーニングにも役立つのが引っ張り合い遊びです。
ケガをさせないためにも、引っ張り合い遊びで愛犬が興奮したら、必ずクールダウンさせてください。安全に注意しつつ、ぜひ愛犬と一緒に引っ張り合い遊びを楽しみましょう。