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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
犬の肛門の両脇にある肛門腺は、定期的に絞ってお手入れしてあげないと、炎症などを起こしてしまう犬もいるので注意が必要です。今回は、犬の肛門腺絞りの必要性やコツ、注意点について解説します。
目次
- 犬の肛門腺絞りの必要性
- 犬の肛門腺絞りのコツ
- 犬の肛門腺絞りの注意点
犬の肛門腺絞りの必要性
犬の肛門腺からはニオイの強い分泌物が出ますが、この分泌物は肛門嚢(こうもんのう)という小さな袋に溜まっていきます。大抵の犬は、排せつ物と一緒に溜まった分泌物が出ることが多いのですが、分泌量の多い犬や、これまでに肛門腺のトラブルを起こしたことのある犬の場合は、人が定期的に絞って出すお手入れ(=肛門腺絞り)をしてあげる必要があります。
肛門腺絞りが不十分で分泌物が溜まりすぎてしまうと、肛門嚢が炎症を起こす「肛門嚢炎(こうもんのうえん)」になったり、肛門嚢が化膿して破裂したりするおそれが。犬は肛門まわりに違和感を覚えると、床にお尻をこすりつけることがあるので、このようなしぐさが見られたときは動物病院で診てもらいましょう。
犬の肛門腺絞りのコツ
肛門腺絞りのコツは以下の通りです。
4時と8時の位置に指を置いて絞る
肛門腺を絞るときはやさしくしっぽを持ち上げ、肛門を時計に見立てて4時と8時の位置に、親指と人差し指を置きます。指を置いたら指の腹を使って犬の頭側に押し上げ、分泌物をつまみ出すようなイメージで絞ります。
絞り出した分泌液は手につくとニオイが取れにくいので、ティッシュやガーゼなどをあてがいながら絞るほうがいいでしょう。何度も行うと犬も嫌がるので、一度で絞りきるようにしましょう。
シャンプー前に行うのがおすすめ
肛門腺から出る分泌物の形状は、水っぽいものやドロッとしたものなど、個体差があります。水っぽいものの場合は、絞り出したときに勢いで飛び散ることもあるので、汚れやニオイを洗い落とせるシャンプー前に絞るのがおすすめです。
犬の肛門腺絞りの注意点
肛門腺絞りの頻度に要注意
肛門腺絞りは、月に1回程度を目安に行いましょう。ただし、分泌物が溜まりやすい犬もいるので、様子を見ながら絞ってあげることが大切です。
何度も繰り返すのはNG
上手く絞り出せないからと何度も繰り返すと、肛門まわりや肛門嚢の炎症を起こしてしまうことがあります。上手くできないときは日を改めるか、獣医師やトリマーなどプロにお任せしましょう。
爪を立てないように
爪を立てて絞ると肛門まわりの皮膚を傷つけてしまいます。犬も痛い思いをするので、絞るときは必ず指の腹を使うよう意識してください。
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