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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
豊かな毛並みとオオカミに似た外見が特徴的なキースホンドですが、キースホンドを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、キースホンドの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- キースホンドの歴史やルーツ、英語名は?
- キースホンドの体高や体重は?
- キースホンドの平均寿命は?
- キースホンドの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
- キースホンドはどんな性格、習性?
- キースホンドを迎える際にかかる費用は?
- キースホンドのしつけと社会化トレーニングのポイント
- キースホンドに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- キースホンドを飼うのに向いている人は?
- キースホンドがかかりやすい病気と予防法は?
- キースホンドの日常のお手入れ方法
- キースホンドとの生活で注意すべきことは?
キースホンドの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | キースホンド |
英語名 | Keeshond |
原産国 | オランダ |
分類 | 中型犬 |
グループ |
5G:原始的な犬・スピッツ |
キースホンド【英語:Keeshond】はオランダが原産の中型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、日本犬を含む、スピッツ(尖ったの意)系の犬「5G:原始的な犬・スピッツ」に属します。
原産国はオランダで、運河に停泊する船を守る「はしけ犬(艀犬)」として人々と生活していたといわれています。毛色がオオカミに似ていることから、古くではイギリスで「ウルフ・スピッツ」と呼ばれていたこともあります。ポメラニアンやスピッツ、チャウチャウと同じ血統との説もありますが、ルーツは定かではありません。
名前の由来は主に2つあり、一つはオランダ語の「ケーゼン(噛む)」が由来する説、もう一つは18世紀にオランダ内戦時の愛国党の党首キース・ド・ギズラーに飼われていたことに由来する説があります。オランダの内戦は18世紀末に終結を迎えましたが、愛国党が敗れて反体制派となったのを契機に、愛国党のシンボルとされていたキースホンドは追いやられて絶滅の危機に瀕しました。しかし、船乗りや農民などの手によって細々と飼育され現代まで血統を維持しました。
キースホンドの体高や体重は?
体高:43~55cm
体重:15~20kg
キースホンドはがっしりとした体つきが特徴で中型犬に分類されます。オスとメスで大きな差はありません。
キースホンドの平均寿命は?
キースホンドの平均寿命は12~15年前後とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』 によると、中型犬の平均寿命は13.4歳のため、平均よりやや長生きすることがあると考えておきましょう。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
キースホンドの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
キースホンドは、オオカミのような銀色の毛色に、豊かなたてがみのような飾り毛があるのが特徴です。顔まわりは黒い被毛に覆われ、目のまわりには眼鏡のような黒いラインがあるのがチャームポイントです。ダブルコートで、冬になると柔らかいアンダーコートが密生してさらに体が大きく見えます。
体格は体高と体長がほぼ同じくらいのスクエア型で、がっちりとした体つきをしています。耳は小さくとがっており、目は小さめ、マズルは太めで子犬のような顔つきをしているのも特徴的です。
キースホンドはどんな性格、習性?
キースホンドは、飼い主に忠実で家族への愛情が深い性格をしています。基本的に温厚な性格ですが、誰にでも懐く性格ではなく、見知らぬ人には一定の距離をおいて接する傾向にあります。
また学習能力が高くトレーニングも得意とする犬種で、初心者でも比較的トレーニングしやすいといわれています。
キースホンドを迎える際にかかる費用は?
キースホンドを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
犬の生体代 |
約40万円~ |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5〜7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000〜10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000〜10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
キースホンドのブリーダーは少なく、ペットショップにいるケースはかなり珍しいようです。月齢や毛色などによっても迎える費用は異なりますが、一般的には30~40万円ほどといわれています。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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キースホンドを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。キースホンドは好奇心旺盛で運動量も多いため普段の散歩だけでなく、ボールなどのおもちゃの他、思いっ切り走り回れるドッグランも近くにあると理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。キースホンドはダブルコートのため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、キースホンドを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。
キースホンドのしつけと社会化トレーニングのポイント
キースホンドを迎えたらできるだけ早くトレーニングを始めましょう。頭がよく物覚えがいいため、キースホンドはトレーニングしやすいといわれていますが、指示に従う相手を選ぶため、まずは飼い主がしっかりとリーダーシップを取ることが重要です。
犬がおやつや抱っこなどを要求してきたら、「お手」「伏せ」など何か指示を一つ出して、できたら要求に応えてあげるなど、子犬の頃から信頼関係を構築しましょう。
初心者にはトレーニングが難しい可能性があるので、場合によってはプロのトレーナーに相談しながらトレーニングを行いましょう。
また、キースホンドに限らず、犬は初めて見るものや知らない人と出会ったとき、恐怖心と警戒心から吠えたりおびえたりすることがあります。恐怖心や警戒心が強く現れる前の子犬の時期にトレーニングすることで、社会性を身に付けられます。
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キースホンドに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分~1時間を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ドッグラン、ボール遊び、おもちゃ遊び
キースホンドはたくさんの運動が必要な犬種です。朝晩各30分~1時間は時間をとり、時折早歩きをしたり、広場で走らせたりしましょう。また、信頼関係を構築するために、散歩中は飼い主が散歩ルートや歩くスピードを決定するよう心がけるのも重要です。
キースホンドは体を動かすのが得意なので、ランニングやボールを使った遊びでたくさん体を動かすのがおすすめです。休日はドッグランや人けの少ない広場でロングリードを使用するなどして、思いっ切り走らせてあげましょう。
キースホンドを飼うのに向いている人は?
✓十分な運動をさせてあげられる環境
キースホンドは活動的で体も比較的大きめです。散歩では速く歩くなどして運動量を確保したいため、体力に自信がある人に向いているでしょう。
✓しつけをきちんとできる人
キースホンドは賢いので、指示を聞く人を自分で判断します。きちんと信頼関係を構築できるよう、子犬の頃から一貫性をもってトレーニングができる人が向いているでしょう。
キースホンドがかかりやすい病気と予防法は?
キースホンドがかかりやすい代表的な病気と対策法を知っておきましょう。
✓ファロー四微症
生まれつき、心臓に「肺動脈狭窄」「心室中隔欠損」「右心室肥大」「大動脈の右方移転(大動脈騎乗)」の4つの病気を持っていることを「ファロー四微症」と呼びます。遊びたがらずに寝ていることが多い、散歩中に立ち止まることが多い、咳が出るなどの様子や症状が出たら早めに動物病院を受診しましょう。
✓皮膚炎
豊富な被毛を持つ犬種に多い病気です。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。
キースホンドの日常のお手入れ方法
✓ブラッシング:1週間に1、2回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要なし
キースホンドはダブルコートなので、季節の変わり目には毛が大量に生え替わります。特に換毛期はできるだけこまめにブラッシングして毛並みを整えましょう。換毛期にブラッシングを怠ってしまうと、毛玉ができたり、通気性が悪くなって皮膚病を引き起こしたりといったさまざまなリスクがあります。
基本的にトリミングは必要ない犬種ですが、夏は豊かな被毛で湿気や暑さがこもりやすいため、アンダーコートをしっかりと除去することがおすすめです。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯磨きは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。
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キースホンドとの生活で注意すべきことは?
キースホンドと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓定期的にブラッシングをしよう!
キースホンドのようなダブルコートの犬は毛が密生しているため、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、月に1度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗いすぎは禁物です。また、キースホンドは皮膚炎にかかりやすいため、皮膚に赤みや脱毛がないか、痒がったりしていないか、日頃から様子をチェックしておきましょう。
✓熱中症に注意!
豊かな被毛を持つ犬は、太陽光の熱や湿気がこもりやすいため注意が必要です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、十分な水分補給や太い血管のある場所を冷やすなど、暑さ対策は万全に。
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