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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
吠えない犬として知られているバセンジーですが、バセンジーを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、バセンジーの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- バセンジーの歴史やルーツ、英語名は?
- バセンジーのオスとメスの体高や体重は?
- バセンジーの平均寿命は?
- バセンジーの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
- バセンジーはどんな性格、習性?
- バセンジーを迎える際にかかる費用は?
- バセンジーのしつけと社会化トレーニングのポイント
- バセンジーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- バセンジーを飼うのに向いている人は?
- バセンジーがかかりやすい病気と予防法は?
- バセンジーの日常のお手入れ方法
- バセンジーとの生活で注意すべきことは?
バセンジーの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | バセンジー |
英語名 | Basenji |
原産国 | 中央アフリカ |
分類 | 小型犬 |
グループ | 5G:原始的な犬・スピッツ |
バセンジーは紀元前から存在した古代犬といわれており、現存する犬の中で最も古い犬種の一つです。エジプトの遺跡にある壁画や美術品にバセンジーのような犬が描かれており、古代エジプト時代にはすでにいたと推察されます。エジプト王国の滅亡後は、中央アフリカ・コンゴ共和国で狩猟犬として飼育されていました。
19世紀にアフリカを探検していたイギリス人が発見、イギリスに持ち込んで繁殖を試みたものの、ジステンバーのため失敗に終わります。その後イギリスで個体数を増やし、アフリカやイギリス以外にもバセンジーが知れ渡ります。1950年代になるとアメリカ国内で映画に取り上げられ、人気が急上昇しました。
バセンジーのオスとメスの体高や体重は?
体高:オス約43cm、メス約40cm
体重:オス約11kg、メス約9.5kg
バセンジーは小型犬に分類されます。筋肉質でスリムな体型が特徴です。
バセンジーの平均寿命は?
バセンジーの平均寿命は12~16歳とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳のため、平均的か、やや長生きと考えられます。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
バセンジーの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
バセンジーの毛色はブラック&ホワイト、レッド&ホワイト、ブラック&タン&ホワイトなどがあります。足や胸、尾の先はホワイトが入り、とても目立ちます。被毛は短いシングルコートです。
筋肉質のスリムな体つきで脚が長く、背中まで巻き上がった尾、先が尖った大きな立ち耳が印象的です。頭部と額にしわが寄っているのも特徴です。
バセンジーはどんな性格、習性?
バセンジーは独立心が強く、頑固だといわれています。飼い主に忠実で愛情深い一方で、見知らぬ人には警戒心を示します。狩猟犬としての本能が残っているため、散歩中は猫や鳥、ほかの犬などに飛びかかることもあるようです。活発で、コードを噛む、ごみ箱をひっくり返すなどのいたずらも好む傾向にあります。
バセンジーは「吠えない犬」といわれますが、普通の犬のように「ワンワン」と吠えることはなく、ヨーデルのような風変わりな声を出します。遠吠えに似た感じです。
また、通常の犬の発情期は年に二回ですが、バセンジーの発情期は年に一回です。
バセンジーを迎える際にかかる費用は?
バセンジーを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
犬の生体代 |
約40万円 |
飼い始めるとき | 畜犬登録費 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000〜10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000〜10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
バセンジーは、ペットショップでは販売が珍しい犬種で、海外のブリーダーからの輸入がメインになります。迎える際の目安は、血統や月齢などによりますが、約40万円からが目安となるでしょう。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30 日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。バセンジーはアフリカにルーツがあるため、寒がりな傾向にあります。冬場の暖房代や防寒グッズのコストは、平均よりもやや高くなると見込んでおきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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バセンジーを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。バセンジーは多くの運動を必要とするため、ボール遊びなどをさせて思い切り走り回れるようにするのがおすすめです。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。バセンジーは胃腸が繊細なため、フード選びでコストがかかるケースもあるでしょう。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、バセンジーを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。
バセンジーのしつけと社会化トレーニングのポイント
バセンジーはマイペースな性格がゆえに、トレーニングを好みません。また、頑固な面があるため、中途半端にトレーニングを行うと指示を聞かなくなり、自分の考えで行動するようになってしまいます。トレーニングがうまくいかない場合は、プロの手を借りることも考えましょう。
バセンジーに限らず、犬は初めて見るものや知らない人と出会ったとき、恐怖心や警戒心から吠えたりおびえたりすることがあります。恐怖心や警戒心が強く現れる前の子犬の時期にトレーニングすることで、社会性を身に付けられます。
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バセンジーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:1時間程度を1日2回
✓運動量:多め
✓おすすめの遊び:ドッグラン、ドッグスポーツなど
バセンジーは活発なため、毎日2回、1時間ほどの散歩を行ってください。のんびりと歩くだけではなく、走ることも大切です。時にはドッグランなどで思いっきり走らせてあげましょう。ドッグスポーツで一緒に体を動かせる遊びもおすすめです。
運動不足は大きなストレスになり、問題行動の原因にもなるため、毎日十分な運動をさせてあげましょう。
バセンジーを飼うのに向いている人は?
✓十分な運動をさせてあげられる環境
バセンジーは活動的な犬種です。散歩では速く歩くなどして運動量を確保したいため、体力に自信がある人に向いているでしょう。また好奇心が強く、動くものに本能的に反応してしまうため、素早い動きにも対応できる人が向いているともいえます。
バセンジーがかかりやすい病気と予防法は?
バセンジーがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓ファンコーニ症候群
腎臓の尿細管の働きが低下する病気です。水分やミネラルなどの再吸収が正常に行えなくなり、腎不全になる場合があります。体液のバランスが崩れて水を以上に飲むこともあれば、食欲や元気がなくなることもあります。現時点では明確な治療方法はありません。異常が見られたら、すぐに病院に連れていきましょう。
✓尿路結石症
尿の通り道に石が詰まる病気です。小さな石はカテーテルを使って洗い流す、水分をたっぷり取って尿で流すなどの方法で対策し、大きな石は手術で取り除きます。食事管理で石を溶かしやすくすることも。再発が多いため、予防が大事です。結石の一因になるマグネシウムが少ないフードを選ぶとよいでしょう。
✓バセンジー腸疾患
フードのタンパク質や細菌・ウイルスなどが原因で腸にアレルギー反応が起こり、粘膜が傷ついて栄養や水分をうまく吸収できなくなります。症状は嘔吐や下痢、血便、食欲不振などです。予防には体質に合うフードの選択や、細菌・ウイルス対策のための掃除などが挙げられます。
バセンジーの日常のお手入れ方法
✓ブラッシング:1週間に1回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:定期的なトリミングは不要
短毛種のためトリミングは不要です。お手入れは週1回程度のブラッシングや、よく絞ったタオルで拭いてあげる程度で十分です。なお、バセンジーは、自分で毛づくろいを行うことでも知られています。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯磨きは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
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バセンジーとの生活で注意すべきことは?
バセンジーと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓防寒対策を行う
バセンジーはアフリカにルーツがあるため暑さには強い一方で、寒さには弱い犬種です。冬の散歩時は洋服を着せるなどの配慮も必要です。さらに寝床には厚めの毛布を敷くなどして、暖かい環境を提供しましょう。
✓いたずらに注意
バセンジーは非常に活動的で、好奇心も旺盛です。ちょっと目を離した隙に大切なものにいたずらされる可能性があります。壊されそうなものはしまっておく、留守番させるときはケージに入れるなど、未然にいたずらを防ぐようにしましょう。また運動不足も問題行動の原因になります。運動欲求を十分に満たすようにしましょう。