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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
全身を覆う真っ白なロングコートが特徴のコトン・ド・テュレアールですが、コトン・ド・テュレアールを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、コトン・ド・テュレアールの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- コトン・ド・テュレアールの歴史やルーツ、英語名は?
- コトン・ド・テュレアールのオスとメスの体高や体重は?
- コトン・ド・テュレアールの平均寿命は?
- コトン・ド・テュレアールの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- コトン・ド・テュレアールはどんな性格、習性?
- コトン・ド・テュレアールを迎える際にかかる費用は?
- コトン・ド・テュレアールのしつけと社会化トレーニングのポイント
- コトン・ド・テュレアールに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- コトン・ド・テュレアールを飼うのに向いている人は?
- コトン・ド・テュレアールがかかりやすい病気と予防法は?
- コトン・ド・テュレアールの日常のお手入れ
- コトン・ド・テュレアールとの生活で注意すべきことは?
コトン・ド・テュレアールの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | コトン・ド・テュレアール |
英語名 | Coton De Tulear |
原産国 | マダガスカル |
分類 | 小型犬 |
グループ | 9G:愛玩犬 |
コトン・ド・テュレアール【英語:Coton De Tulear】は、マダガスカルが原産の小型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬である「9G:愛玩犬」に属します。
コトン・ド・テュレアールは、2~3世紀も前から歴史がある古い犬種です。“綿花(コトン)”のようなふわふわした白い長毛であることと、“南部マダガスカルの街、テュレアール”が犬種名の由来となっています。コトン・ド・レユニオンにハバニーズやマルチーズ、ビション・フリーゼなどを交配して作出されたといわれています。
かつてはマダガスカルの島で、ネズミ退治や番犬、レトリーバーとして働いていました。
1970年にFCI(世界畜犬連盟)に公認され、フランスで人気犬種となり、現在では世界中で親しまれる犬種となりました。
コトン・ド・テュレアールのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは26~28cm、メスは23~25cm
体重:オスは4~6kg、メスは3.5~5kg
コトン・ド・テュレアールは小型犬に分類されます。
コトン・ド・テュレアールの平均寿命は?
コトン・ド・テュレアールの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
コトン・ド・テュレアールの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、コトン・ド・テュレアールの毛色はホワイトです。わずかな明るいグレーまたはレッド・ローンが耳にあることもあります。
小型でコンパクトな体格で、耳は小さくV字型に垂れています。特徴的な白いコートは、木綿糸のように長く、四肢も覆うほどの長さに伸びます。
コトン・ド・テュレアールはどんな性格、習性?
コトン・ド・テュレアールは、楽しく明るい性格で家族にも愛情深いため家庭犬として人気の犬種です。子どもや他の犬に対しても友好的ですが、見知らぬ人には警戒心が強い面があります。
水泳が得意で、長距離を走り続けることができるような豊富なスタミナも持ち合わせています。
コトン・ド・テュレアールを迎える際にかかる費用は?
コトン・ド・テュレアールを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
コトン・ド・テュレアールはペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入が主な入手方法です。
ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、コトン・ド・テュレアールのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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コトン・ド・テュレアールを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。コトン・ド・テュレアールはスタミナがあるため、普段からの散歩以外に自由に走り回れるドッグランや、安全な水場が近いと理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、コトン・ド・テュレアールを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
コトン・ド・テュレアールのしつけと社会化トレーニングのポイント
コトン・ド・テュレアールは賢く、順応性に長けているので、トレーニングは難しくないでしょう。
しかし警戒心が強い傾向があるため、子犬の頃からたくさんの人や犬に会わせて多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
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コトン・ド・テュレアールに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:20分以上を1日2回
✓運動量:多め
✓おすすめの遊び:ドッグラン
小型犬ですが、見た目以上にスタミナのある犬種です。運動不足だと吠えやすくなったり、ストレスから問題行動を引き起こしたりすることがあるため、十分に運動をさせるようにしましょう。
散歩の他に、ドッグランで自由に走らせるほか、部屋の中で鼻を使ったおやつ探しゲームなどの遊びもよいでしょう。
コトン・ド・テュレアールを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
コトン・ド・テュレアールは、穏やかで子どもに優しい犬種だといわれています。小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。
✓毎日のお手入れができる人
長く伸びるボリュームある白い被毛が特徴の犬種ですので、家で基礎的なグルーミングケアができる人があげられるでしょう。
✓犬を初めて飼育する人
穏やかで愛情豊かな性質なので、犬を初めて飼育する人でも飼いやすい犬種です。
コトン・ド・テュレアールがかかりやすい病気と予防法は?
コトン・ド・テュレアールがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
✓皮膚炎
豊富な被毛を持つ犬種は、膿皮症やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患になりやすいため、ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。
✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまう小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は4段階に分けられ、重症だと外科手術による治療が行われます。
コトン・ド・テュレアールがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
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コトン・ド・テュレアールの日常のお手入れ
✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要
全身を覆う豊富な被毛は、とても柔らかく毛玉になりやすいため、ていねいにお手入れをしてあげましょう。また定期的なプロのトリミングも必要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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コトン・ド・テュレアールとの生活で注意すべきことは?
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓関節に負担の少ない床材を選ぼう!
床で足が滑ると足首や膝などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。