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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
犬が脳や神経の病気を一度発症すると、生活の質は驚くほど下がります。また、神経やそれに関連する筋肉は、一度機能を失うと元に戻らなくなることがあるので、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。今回は、犬の注意したい脳・神経の病気をご紹介します。
目次
- 犬が注意したい脳・神経の病気(1)椎間板ヘルニア
- 犬の注意したい脳・神経の病気(2)てんかん
- 犬の注意したい脳・神経の病気(3)認知機能障害
犬が注意したい脳・神経の病気(1)椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間でクッションのような役割している「椎間板」が飛び出し、脊髄を圧迫してしまう病気です。犬が椎間板ヘルニアになると痛みを感じるため、じっと動かずに震えていたり、さわろうとすると怒るようになったりします。また、抱きかかえたときにキャンと鳴くようになったり、後肢の麻痺を起こして歩けなくなったりすることがあります。
ミニチュア・ダックスフンドやウェルシュ・コーギー・ペンブロークなどの軟骨異栄養性犬種は、椎間板が変性しやすいため、比較的若くして椎間板ヘルニアを発症することの多い犬種です。
犬の注意したい脳・神経の病気(2)てんかん
てんかんは脳神経の異常興奮によって、けいれんや四肢の硬直といった発作が、定期的に起きる病気です。完治が難しい病気のため、一度発症すると長期にわたって投薬しながら、発作をコントロールする必要があります。
この病気は、水頭症などのほかの病気が原因となって発症する場合と、遺伝的な素因などからほかの病気とは関係なく発作が起きる場合があります。後者の場合は発作が起きていないときはごく普通に生活していることが多いため、飼い主さんも気づきにくいことが多く、突然発作を起こしているのを見つけて動物病院を受診する場合が多いです。
1歳〜4歳齢くらいでけいれんなどの発作の症状がではじめます。
犬の注意したい脳・神経の病気(3)認知機能障害
認知機能障害とは、いわゆる認知症のことで、加齢に伴い脳の機能が低下し、今までできていたことができなくなる病気です。犬が認知機能障害になると、夜中に吠える(夜鳴き)、トイレの失敗、呼んでも無反応、家具にぶつかるなどの症状が見られることがあります。
加齢のほか、心臓病や脳腫瘍などの病気が原因で発症することもあるため、「年だから仕方ない」などと放っておかず、しっかりと診断してもらうことが大切です。
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