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ますだ動物クリニック院長、国際中医師

子犬用フードから成犬用フードへの切り替え時期は、成犬になる月齢が目安です。たとえば小型犬は生後8~12カ月が目安になります。このたった1年前後の間に、成犬とほぼ同じ体格(体重は約20倍)まで急激に成長します。
そのため“成長のため”に与えていた高栄養価の子犬用フードは、成長が落ち着いてからは“健康を維持するため”の成犬用フードに切り替える必要があります。
この記事では、成犬用フードへの切り替え時期の目安を犬種サイズ別に紹介するほか、子犬用のフードと成犬用フードの違いやフードの切り替え方法、よくある疑問などを獣医師の増田国充先生監修のもと解説していきます。
これから子犬を迎える方、現在子犬を育てている方のお悩みによくある成犬用のドッグフードはいつから与えれば良い?どのタイミングで切り替えれば良い? とお考えの方に、必見の内容です。
目次
- 子犬用から成犬用フードへの切り替えは成犬になる月齢を目安に!
- 【犬のサイズ別】子犬/パピー期はいつまで?成犬期はいつから?
- 子犬用フードと成犬用フードは何が違うの?
- 子犬用フードから成犬用フードへの切り替え方法
- フードの切り替えに失敗したら?
- 成犬期の食事で気を付けたいこと
- 成犬用フードへの切り替えの疑問に答えます【Q&A】
- カインズのドッグフードを紹介
- まとめ
子犬用から成犬用フードへの切り替えは成犬になる月齢を目安に!
成犬用フードへの切り替え時期は、次のことを目安に行います。
- 成犬になる月齢(※次のトピックで紹介)
- 成長が止まったと感じる頃(体重が横ばいになる)
- 子犬用フードを与えていて太ってきた場合
犬の成長スピードには個体差があるので、成犬になる目安の月齢より早かったり遅かったりすることがあります。体重が横ばいになったり、太ってきたな、と感じたりしたら切り替え時期です。
毎月の健康チェックなどで動物病院を受診する際、獣医師に相談しドッグフードを切り替えた方が良いか、どういったものがおすすめか、確認してみるのがおすすめです。
成長スピードや愛犬の状態に応じて、臨機応変に対応しましょう。
【犬のサイズ別】子犬/パピー期はいつまで?成犬期はいつから?
犬は犬種サイズによって成長スピードが異なります。一般的な子犬期(パピー期)は以下になります。
小型犬 …生後8~12カ月
中型犬 …生後12カ月~18カ月
大型犬 …生後18カ月~24カ月
この時期は急激に成長する時期なので、こまめに体重を測りながらドッグフードの量を適切に増やしていきましょう。
子犬用フードと成犬用フードは何が違うの?
子犬用フードと成犬用フードそれぞれの特徴と違いは以下になります。
✓子犬用フード
成長するためには栄養がたくさん必要です。筋肉などを作るたんぱく質や脂肪、骨や歯を作るカルシウムとリンは成犬用フードより多く含まれています。また子犬は胃が小さく消化機能も未熟なため、一度に少量しか食べられません。そのため高栄養価、高カロリーな配合になっています。
✓成犬用フード
健康を維持するための栄養がバランス良く配合されています。成長のための栄養は必要ないため、栄養価は子犬用の半分程度しかありません。
子犬用フードから成犬用フードへの切り替え方法
成長が落ち着くと、必要な栄養素やカロリー量が少なくなります。
しかし、いっぺんに成犬用フードに切り替えてしまうと、食べ慣れないフードに胃腸が対応できずに消化不良(下痢や嘔吐、便秘など)を起こしてしまう恐れがあります。子犬用フードと成犬用フードは、栄養バランスやエネルギー量が違います。
フードを切り替えるときは次の方法で1週間~10日間ほど十分時間をかけて行っていきましょう。また、フードの切り替え中は、健康な便が出ているか注意深くチェックしてください。
フードの切り替えに失敗したら?
フードを切り替えている最中に、嘔吐や下痢、フードを食べなくなるなどがあったら、切り替えがうまくいっていません。
そんなときは、まずは問題がなかった直前のフード比率に戻したり、子犬用フードに戻したりして犬の健康状態や便の様子を確認してください。
嘔吐や下痢の理由には、胃腸がまだ対応できていないことや、食物アレルギーの可能性が考えられます。胃腸がまだ成犬用フードに慣れていない場合は、もっと時間をかけて移行していくことで解決します。
食物アレルギーの場合は、原因の食物をのぞけば症状は良くなるため、与えているフードの原料、特にタンパク源の肉類・魚類を確認して違うものを試してみましょう。
また、動物病院で食物アレルギーの特定検査ができるので、原因がわからないときは検査をしましょう。
食べ残しが続く、嘔吐・下痢が続く場合は獣医師に相談してください。
ドッグフードを切り替えるときは、切り替えようとしているフードが愛犬の好みや体質に合うものか分からないため、大袋(大容量)で購入するのはやめ、少量でパッケージされているものや、サンプルをもらってごく少量から試すようにしましょう。
成犬期の食事で気を付けたいこと
成犬期は成熟期、維持期とも呼ばれています。小型犬では成長が止まる1才から6~7才頃まで、大型犬では4~5才頃までです。
この時期の健康課題で代表的なものは“肥満”です。肥満は心臓病や関節炎、膵炎などの疾患の要因になります。肥満の主な原因は「食べ過ぎ」です。
とくに避妊、去勢をすると、ホルモンバランスの変化から必要なエネルギー量が減って太りやすくなるので、未避妊、未去勢の犬よりも摂取カロリーを10~20%減らした方が良いとされています。
さらに口腔環境の悪化がさまざまな病気に関係することがわかってきています。歯磨きをすることはもちろんですが、歯石の沈着に留意したフード選びもポイントになります。ウェットフードや手作り食は、ドライフードに比べて歯に残りやすいため気を付けましょう。
犬に多い慢性腎臓病は、タンパク質とリンの過剰摂取が要因であるように、成犬期の栄養不足や栄養過多は、さまざまな疾患の要因になり得ます。犬に必要な栄養素などの知識をつけて、食事の量や内容をコントロールできるようにしておくと安心です。
成犬用フードへの切り替えの疑問に答えます【Q&A】
成犬用のフードにしたらあまり食べなくなってしまった
子犬用のフードは成犬用フードよりも高脂質で嗜好性が高いため、成犬用フードだと物足りないのかもしれません。まずは、成犬用フードを温めて香りを立たせて与えてみてください。それでも食べなかったら、粒の大きさが犬の口には大きすぎて食べにくいのかもしれません。粒をビニール袋などにいれて砕いて小さくしてから与えてみてください。
また、犬によって好き嫌いの好みがあります。そのドッグフード自体が合わない可能性があります。他の製品を試してみましょう。
しかし、犬が食べなくなったり食いつきが悪くなった、という理由で頻繁にフードを変えたりおやつを与えたりしていると、賢い犬は味を占めてしまいます。「食べなければもっとおいしいものが出てくる」と学習して、わざと繰り返すようになってしまうので注意しましょう。
パッケージに表示されている分量で足りているか心配
ドッグフードのパッケージに記載されている給与量は、一般的な理想体型から割り出した分量なので、あくまで目安です。犬ごとに活動量や体格、消化吸収率などの体質は異なるので、愛犬にとっての適量であるとは限りません。
「愛犬がいつもお腹を空かせているような気がする、フードが足りていないのではないか」、と心配になったら、体重と便の状態を良く観察することで確認することができます。
現在与えているフード量で健康的な体重がキープできているのであれば、現状の分量で問題ありません。体重が増えていくようなら与えすぎ、体重が減っているようであれば足りていない、と判断します。
また便が軟らかいようなら与えすぎで、便が硬いようだと足りていない、と判断します。
子犬なのに食欲旺盛すぎて肥満が心配
一般的に子犬は食欲旺盛です。骨や筋肉、内臓など体の成長が著しい時期なので、たくさん食べても太る心配はまずありません。偏った栄養バランスになってしまわなければ、子犬が食べられる量なら与えても基本的には大丈夫です。
むしろこの時期は、肥満よりも栄養不足になってしまう方が深刻な問題です。食事制限をすることで、成長のために必要な栄養が不足すると、健康的な成長が阻害されてしまったり、免疫システムが正常に発達しなかったり、またそれがストレス要因となって問題行動につながることもあります。
体の成長が落ち着くとともに食欲も落ち着きます。それでも、子犬の異常な食欲が心配だ、という場合は獣医師に相談しましょう。
カインズのドッグフードを紹介
カインズでは、子犬用も成犬用もたくさんのドッグフードを取り揃えています。
主食となるフードや、トレーニングのごほうびになるおやつなど、たくさんの商品からお選びください。また、フード類の他、洋服やベッド、おもちゃ、ペットシーツまで、カインズだけのオリジナル商品もたくさんございます。ぜひご覧になっていってください。
スマイリア サーモンと玄米のぜいたく素材ごはん 800g 成犬用
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
子犬用のドッグフードから成犬用のドッグフードへの切り替え時期は、体の成長が落ち着いた時です。小型犬では月齢8カ月~12カ月頃が目安となります。
フードの切り替えはいっぺんにやってしまわないで、1週間~10日ほどかけて少しずつ移行していきます。
少し手間はかかりますが、食事は愛犬の健康管理をしていくうえで土台になるものです。愛犬の健康のためにがんばりましょう。また、犬の食事や成長、健康に関して少しでも不安があるときは、獣医師に相談するようにしてください。