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特定非営利活動法人DOG EAR FUNDS代表理事。2020年5月「株式会社THE DOG COMPANY」を設立。現在は、愛犬トイ・プードルと暮らしている。
魚眼レンズで撮影されたユニークな動物たちが印象的な「THE DOG」 ブランド。大きな鼻や目、こちらをのぞき込むような様々な犬の愛くるしい表情。見たことがある方も多いのではないでしょうか?
実は、代表的なカレンダーは世界発行累計部数510万部を超えるほどの世界的なロングセラー商品なんです。そして、誕生から22年経った今では、犬猫のより良い暮らしを作るための活動もしています。
2020年に「THE DOG」の事業を引き継いだ「THE DOG COMPANY」代表の鈴見純孝さん。日本の寄付文化の難しさや、宮古島など離島での支援活動の壁、トリミングサロンの課題など、愛犬家の鈴見さんだからこその視点があったようです。支援団体の立ち上げの背景や、新しい取り組みへの想いを聞いてみました。
目次
- ビルボード広告やマクドナルドのハッピーセットにも起用。世界中で愛される犬ブランド
- 動物と育った過去。犬猫救済のための「恩返し」を提案
- 「寄付するのは偉い人?」日本の犬猫支援のハードルを下げたい
- 飼い主の悩みにも寄り添う。「移動型トリミングサロン」を実現
ビルボード広告やマクドナルドのハッピーセットにも起用。世界中で愛される犬ブランド
――鼻デカな犬の写真が印象的な「THE DOG」ですが、どのような経緯で作られたものでしょうか?
鈴見純孝さん(以下:鈴見):私が「THE DOG」コンテンツを引き継いだのが2020年なので、発売当初には関わりがなかったのですが、2000年に20種類の犬種別ポストカードBOOKが制作されたのが始まりです。魚眼レンズで撮影した犬たちのこれまでにないかわいらしさが支持され、100万部の大ヒットになったそうです。その翌年に犬種別のカレンダーが発売され、現在まで続く人気商品になっています。
――当時、ぬいぐるみやキーホルダーなども出ていましたね。その人気は、日本だけでなく海外にも及んだとか?
鈴見: 2003年に全米19か所でビルボード広告に使われたことや、2004年から数年に渡りマクドナルドのハッピーセットのおもちゃとして世界展開され、世界57か国での認知が広がったようです。
――世界中にファンがいるのですね。
鈴見:そうなんです。実際に「THE DOG」 のSNSアカウントは合計20万人以上のフォロワーがおり、7割近くが海外の方。
今でもカレンダーの他にもぬいぐるみやTシャツ、帽子など、海外各国でさまざまなグッズ展開をしていますが、どれも人気が高いですね。
――「THE DOG」はカレンダーの場合、何種類くらいの犬種を取り扱っているんですか?
鈴見:カレンダーのサイズや年度で多少の変動はありますが、犬種別で30種以上を揃えています。その他、豚やうさぎなどの動物別や、複数犬種を一冊にしたオールスターもご用意しています。
動物と育った過去。犬猫救済のための「恩返し」を提案
――2020年、「THE DOG COMPANY」として新たな形でスタートした「THE DOG」。鈴見さんが運営をするようになった経緯を教えてください。
鈴見:僕は24歳で起業して以降、イタリア生まれの「Rody」を始め、多くのキャラクターの企画開発やライセンス管理に長年携わってきました。その経験もあり、共通の知り合いを介して「THE DOG」を生み出した会社の社長から相談を受けたのがきっかけです。
2019年末頃、「来年20周年を迎えるにあたり新しいことをやりたい。何か良いアイデアはないだろうか」とお声がけいただきました。
――20周年の節目の時期だったのですね。
鈴見:はい。そこで僕は「これまでカレンダーやグッズ展開で犬猫のお仕事をさせてもらってきたのだから、今度は犬や猫に恩返しになるような事業を展開してみてはどうか」とご提案しました。
――恩返し、ですか?
鈴見:僕たち人間にとって今や犬猫は家族であり、たくさんの幸せをくれる存在ですよね。しかし一方で、現在も犬猫の殺処分問題は依然として社会的に大きな課題です。
だからこそ、この事業を通じて犬猫の救済につながる仕組みを作っていければと考えました。
――以前から、殺処分問題などに関心があったのですか?
鈴見:僕自身、物心がついた頃から動物がいる環境で育ってきたこともあり、ペットたちを取り巻く社会問題には関心がありました。
そこで、これまでの「THE DOG」の知名度を活かしたら、心の片隅にあった、何か犬猫に貢献したいという想いも、現実にしていけるのではないかと思ったのです。
――動物がいる環境で育ってこられたのですね。
鈴見:はい。小学生の頃は多い時で犬5匹、猫8匹と暮らしていたこともあります。
生まれ育った実家ではシェパードのほか、雑種犬が4匹いました。猫は実家にネズミが出るからと最初は1か月限定でご近所から1匹借りたのですが、我が家が気に入ったらしく、お返ししても気がついたら戻ってくるようになりました。そして居着いちゃったんです。一旦お返ししたタイミングで2匹の保護猫をもらっていたのですが、今度は子猫が5匹生まれちゃって。振り返ると、とてもにぎやかな環境でした。
――現在もトイ・プードルを飼っているそうですね。今のワンちゃんとの暮らしはいかがですか?
鈴見:僕が今暮らしているトイ・プードルのベックは12年前、娘のお友達の家で生まれた子を譲っていただきました。我が家は娘が2人なので、ベックはうちの長男です(笑)。彼の寝息が堪らなく好きで、いつも耳を近づけて癒されてます。