転勤族の夫とともに、全国を転々としている。現在は東京の片隅で書店員として勤務。今年、『書店員は見た 本屋さんで起こる小さなドラマ』を上梓した。

娘はいくつかの保護団体のホームページを開き、いろいろと調べている。
なかには保護団体の名を語る悪質なサイトもあると聞くので心配したが、娘は実績や口コミも確認しており、心配は杞憂のようだった。
娘が「この子はどう?」と、タブレットの画面を私に向ける。画面には、テリアのような見た目の大型犬が嬉しそうな顔でこちらを見ていた。
「どうだろう……。写真だとよくわからない。きっと可愛いだろうけど」
飼育ボランティアのかたのコメントを見ると、明るく元気な4歳と書かれている。
「じゃあ、会って決めるのがいいかもね。心配ごとがあるなら、ここから質問してみたら?」と言う娘に誘われるように、コメント欄から質問をしてみることにした。
目次
- 先住猫たちと、うまく暮らせるだろうか
- それでも、会いに行ってみようと思った
先住猫たちと、うまく暮らせるだろうか
『猫4匹を飼育しています。今年の春まで大型犬が一緒に暮らしていたため、猫たちはある程度犬との暮らしには慣れていますが、犬が先住だったため、あとから来る犬とうまく暮らしていけるのか心配しています。もちろん、個性や相性があるのでひとくくりに出来ないことは承知していますが、たくさんのケースをご存知かと思うので、お教えいただけたら幸いです』
新しく犬を迎えるに当たって、私の一番の心配は猫たちのこと。
我が家の猫のアオとハル、メイメイ、もじゃみは、レイルが暮らす家に、仔猫の時にやって来た。
みんな、はじめこそ大きな犬に怯えていたが、たいてい数日で慣れてくれている。レイルは新しい家族をいつだって大歓迎だし、仔猫側もレイルに危険がないことをすぐに察知するのだ。(ちなみに、性格によるところだが、ハルともじゃみに至っては、怯えや警戒が全く無く、すぐにレイルと一緒に寝ていた)
しかし、新参者の犬に猫たちがどう出るかは未知数。もし、迎え入れたけれど全く仲良く出来ないというような事態になれば、猫たちにも、新しく来た犬にも多大なストレスをかけることになってしまう。ここは慎重に慎重を重ねなければならなかった。
実は、茨城県の元野犬を検討しているのには、私の故郷ということ以上に大切な理由がある。
以前、“特性として、猫とうまく付き合える子が多い"というのを何かの記事で読んだのだ。のちに聞いた話では、猫と群れをなしている様子が確認されたりもしているのだとか。
もちろんこれも全ての子に当てはまることではないが、私にとってかなり重要なポイントとなっていた。
とにもかくにも猫と仲良く出来る子でなければ、家族になるのは難しい。
問い合わせには、30分ほどで返信があった。
それでも、会いに行ってみようと思った
『お問い合わせ、ありがとうございます。
お問い合わせいただいた子は、犬や人間とはとても仲良く出来ますが、猫とは触れ合う機会がないため、猫との相性については分かりません。
ですが、当団体では、他のボランティア宅で猫と生活している子もたくさんいます。そういった子なら、先住猫ちゃんたちともうまくいくかもしれません。
もしよろしければ、次回の譲渡会にいらっしゃいませんか?』
添付されたURLには、次回の譲渡会の情報が記載されていた。
今週の土曜日。明後日だ。
場所は、娘が生まれる前に暮らしたことのある海辺の町。
実は私は、今でも夫に「機会があればまた住みたい」と言うことがあるほど、その町が気に入っていた。今住んでいる東京のように交通の便も良くないし、坂道ばかりで歩くのもなかなか疲れるのだけど、海が近くて気持ちの良い町だった。
期末テスト直前の娘は「私は行けないけど、もしママが『この子!』って思ったら、その子でいいから」と言う。
ひとりで行き、重大な決断をするのは憚られ、不在の夫にメッセージを送るとすぐ既読がつき、“OK!“のスタンプ。その間10秒。
なにかが動き出す時は、意思だけではない力が働くことがある。
土曜日の朝、私たちは海辺の町へと車を走らせた。











