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42才の時に、株式会社ハイビックス会社を承継。小さい頃から犬好きだった。愛犬とのくらしをきっかけに、犬用の床ずれ防止エアマット『PETOA(ペトア)』を開発。
犬用床ずれ防止エアマット『PETOA』とは?
目次
- 犬用の床ずれ防止エアマット『PETOA(ペトア)』を開発した株式会社ハイビックスの高井順子社長
- 老犬介護の役に立ちたい。 『PETOA』開発の原動力
- 10年前は安楽死が多く“犬の床ずれ”の事例も需要もなかった
- 「愛犬が傷のない体で旅立てた…」 『PETOA』に寄せられた感謝の声
- 圧力の分散で床ずれ防止。人間用エアマットを犬用に転換
- 愛犬と飼い主さんの最期を、負担の少ない良いものに
犬用の床ずれ防止エアマット『PETOA(ペトア)』を開発した株式会社ハイビックスの高井順子社長
介護における悩みの種の一つである「床ずれ」。寝たきりや車いす生活など長時間同じ体勢でいる際に、圧迫された部分の血流が悪くなって皮膚が傷ついてしまう症状です。重症化するほど治りにくくなるため、予防が大切だとされています。
そんな床ずれですが、実は人間だけの問題ではありません。以前と比べてペットの寿命が長くなった今、床ずれに苦しむ犬や悩みを抱える飼い主が増えているのです。
そこで、犬の床ずれを防止するために開発されたのが、犬用の床ずれ防止エアマット『PETOA(ペトア)』です。
手がけたのは、人間用の介護用品などを製造する株式会社ハイビックス(岐阜県)。
愛犬家である社長の高井順子さんが、「人間用床ずれ防止マットのノウハウを活かして床ずれに悩む犬や飼い主を助けたい」と、着想から約15年を経て完成させました。
『PETOA』の生みの親である高井さんに、『PETOA』開発の背景や製品の特徴、老犬介護への思いについて聞きました。
老犬介護の役に立ちたい。 『PETOA』開発の原動力
株式会社ハイビックスは、1945年に油紙を販売する会社として創業しました。時代の変化とともにビニール製品の浮き輪やプールなどの玩具を扱うようになり、さらに産業資材や医療介護用品なども展開。現在はおもに医療機器や介護用品を製造しています。
同社の持つフィルム溶着加工技術は、自動車のエアバッグや高速道路にあるETCバーなど、身近にあるさまざまな製品に活用されています。特に床ずれ防止マットは30年以上前から日本で製造し、現在ヨーロッパなどに輸出している主力商品です。
そんな株式会社ハイビックスが『PETOA』を開発することになったのは、高井さんのアイディアでした。
「愛犬は私にとってわが子同様、わが子以上の存在です。仕事で悩んだり疲れたりしていても、家に帰れば100%の純粋な愛情で迎えてくれる姿にすごく安心します。嫌なことも一瞬で吹き飛んでしまう心の癒しであり、支えですね」
そう語る高井さんと犬との出会いは、小学生のときに野良犬の子犬を拾ったのが始まりです。それから柴犬やチワワなど、5匹の愛犬と生活をともにし、現在もチワワと暮らしています。しかし2022年12月、もう1匹のチワワのモナちゃんを鼻腔腺癌で亡くすという悲しい出来事がありました。
「25年ほど前にも柴犬のジロくんを同じ鼻腔腺癌で亡くし、つらい思いをしたんです。そして2年前、モナちゃんの鼻が膨らんでいるのを見て『もしや』と思い受診して、中部地区の中核病院である岐阜大学動物病院を紹介してもらいました」
動物病院で放射線治療や抗がん剤治療などを受けたモナちゃんは、2、3か月で亡くなってもおかしくないような状況から、1年半も頑張って生きたそうです。「動物医療が人間並みに進歩しているのを強く感じましたね」と振り返ります。
動物医療の発展を目の当たりにし、同時に犬を人間と同じように家族として扱う意識が広がっていると感じた高井さんは、考えました。
「ワンちゃんは年をとっても赤ちゃんのような存在。言葉も話せないので『どこが痛い』とも言えない。だからこそなんとかしてあげたいと、老犬介護に取り組んでいる飼い主のみなさんは模索しているはず。そんな老犬介護で少しでもワンちゃんの苦しみを和らげ、飼い主さんの気持ちも楽にしてあげたい」
高井さんの犬への愛情と、同社が持つ床ずれ防止エアマットの技術が重なり、『PETOA』開発の原動力となったのです。