くらし
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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動学会研修医。藤田医科大学客員講師。

2025年は日本の夏の平均気温が、平年を2℃以上を上回り、気象庁の観測史上で最も高い記録となりました。世界的に見ても、暑さは年々厳しくなってきているなか、愛犬との生活にどんな影響があるのでしょうか。獣医師の茂木先生に聞きました。
目次
- 過去最高41.8℃を観測した2025年。従来の「犬との暮らし」に疑問
- 愛犬の命を守るために。暑い日には散歩へ行かない勇気も必要
- 「散歩に行ってあげられない」罪悪感を緩和する代替アイデア
- シニア犬の場合は? 夏の工夫と脳の健康維持
- 室内でトイレができない。愛犬が外トイレ派の場合の対応策
- 猛暑時代こそ“うちの子基準で”。愛犬と楽しく前向きな工夫を
過去最高41.8℃を観測した2025年。従来の「犬との暮らし」に疑問

真夏日や猛暑日が当たり前になった日本の夏。気象庁の観測史上でも記録的な暑さが続いています。これまで“当たり前”とされてきた犬との暮らし方も、見直しが求められているのかもしれません。
なかでも「散歩をどうするか」は、飼い主にとって日々の悩みの種のひとつではないでしょうか。
「暑すぎて歩けない」という声に加え、「散歩に行けないことで、犬がストレスをためてしまうのでは?」「運動不足で筋力が落ちてしまうのが心配」といった不安も多く聞かれます。
筆者自身も、毎年夏になると同じ悩みに直面します。その思いを獣医師の茂木千恵先生に伝えると、次のような答えが返ってきました。

「散歩に行けないからといって、すぐに犬が不健康になるわけではありません。大切なのは『無理に連れ出さない勇気』と、『室内でできる工夫』です」
命を脅かすような暑さが続く今、「犬には毎日の散歩が必要」という常識自体を見直すタイミングが来ているのかもしれません。
とはいえ、外で排泄する習慣のある犬や運動量が多く必要な犬種など、「散歩に行かない」という選択肢が難しいケースもあります。
猛暑時代の犬との暮らしを、私たちはどうアップデートしていけばいいのか。茂木先生の言葉を手がかりに、その答えを探っていきます。