シーリハム・テリアの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	シーリハム・テリア
英語名	Sealyham Terrier
原産国	イギリス
分類	小型犬
グループ	3G：テリア

シーリハム・テリアは19世紀後半にイギリス・ウェールズ州のシーリハムに住んでいたジョン・エドワード大佐によって作り出された、比較的新しいテリア種です。大佐が自分の理想とする猟犬を生み出そうとして、生まれたといわれています。カワウソやアナグマ、キツネなどを探し出す、猟好きで活動的な小型犬を作るため、さまざまなテリアにウェルシュ・コーギー・ペンブロークなどを交配したとされています。

エドワード大佐の没後、1903年に初めてショードックとして登場したシーリハム・テリアは、非常に大きな吠え声で小獣を追い回す狩猟犬として用いられたことでも有名です。

英語名はSealyham Terrierです。

体高：オス、メスともに39cm以下
体重：オスは約9kg、メスは約8.2㎏

シーリハム・テリアは小型犬に分類されます。足が短く、コンパクトな体つきながら、全体的に筋肉質で締まった体をしています。

シーリハム・テリアの平均寿命は12～14歳とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳のため、平均的といえるでしょう。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャパンケネルクラブによると、シーリハム・テリアの毛色はホワイト一色か、ホワイトをベースにレモン、ブラウン、ブルー、アナグマ色（バシャー）の斑が頭部および耳に入るものとされています。ブラックの斑が多いものや、ティッキング（小さなブチ）が濃厚なものは好ましくありません。被毛はダブルコートの長毛種です。

コンパクトな体つきですが、輪郭は長方形で小さな垂れた耳も特徴です。

もともと狩猟犬として作られたシーリハム・テリアは、勇敢で少し頑固な面も持ち合わせた犬種です。職人かたぎで怖いもの知らずのところがある反面、社交的でユーモアがある愛らしい面も持ち合わせています。飼い主にはとても従順で、一緒に遊ぶことが大好きです。

警戒心が強いので、信頼を得られるまでは少し時間がかかります。本来の性格は社交的で忍耐強く、小さな子どもとも仲良くできます。小型犬の中では力が強い方なので、子犬の頃からしっかりしつけておくことが大切です。

シーリハム・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ブリーダー、知人や友人からなど	約35万円前後
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5〜7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000〜10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000〜10,000円

飼い始める際にかかる費用

シーリハム・テリアのブリーダーは非常に少なく、ペットショップにいるケースはほとんどありません。迎える費用は一般的に35万円ほどといわれていますが、ブリーダーや月齢などで異なります。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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シーリハム・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。シーリハム・テリアは人と遊ぶのが好きな性格のため、ボール遊びやゲームを取り入れた知育おもちゃなどがおすすめです。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。シーリハム・テリアは被毛が豊富なので、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、シーリハム・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

シーリハム・テリアはもともと獲物を見つけて知らせる犬種のため、吠え声は大きめです。都市部のマンションや住宅密集地で飼うときは、子犬の頃から無駄吠えをさせないトレーニングが必要です。自宅では来訪者や通行人が見えないよう工夫し、クレートの中で大人しくしていられるようなトレーニングを行います。

少し頑固なところがあるシーリハム・テリアのトレーニングは容易ではありません。しかし、飼い主が毅然とした態度で教えれば、もともと賢い犬なので、トレーニングによって無駄吠えを防ぐことは可能です。

狩猟犬の特性である「噛み癖」にも要注意です。動くものを捕まえたいという欲求が強いため、悪気はなくてもつい噛むことがあります。噛み癖がついてしまう前に、子犬の頃からしっかりとトレーニングしましょう。

警戒心が強い犬種ですが、小さいうちに家族以外の人や外の音に慣れておくと、必要以上に警戒することがなくなります。いろいろな場所へ連れ出し、人やほかの犬とも接触できる機会を持って、社会化を促していきましょう。

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✓散歩：30分を1日2回
✓運動量：多い
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ボール遊び、知育遊び

狩猟犬として作られたシーリハム・テリアは、体は小さいながら体力がある犬種です。小型犬の中では運動量が豊富ですから、1日2回、1回約30分を目安に毎日散歩をしましょう。時々はドッグランでリードを外して存分に走らせ、ボールを追いかける遊びを取り入れるとよいでしょう。

室内でも飼い主と一緒に遊べる運動や、ゲーム性のある頭を使う遊びをするのもおすすめです。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
シーリハム・テリアは小型犬ですが、もともと狩猟犬だけあってエネルギッシュな体力の持ち主です。毎日の運動を十分にさせてあげられる環境が良いでしょう。

✓しつけをきちんとできる人
狩猟犬の特性上、吠え声が大きいため落ち着いて毅然とした態度でトレーニングできる人が向いているでしょう。
また、長毛種のシーリハム・テリアは定期的なトリミングが必要です。日頃のシャンプーやブラッシングなどのお手入れに加え、定期的にトリミングに通えることも大切なポイントです。

シーリハム・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓椎間板ヘルニア
椎間板の変形や破裂で脊髄神経が圧迫され歩けなくなる「椎間板ヘルニア」も発症しやすい病気です。ジャンプなどの激しい運動は背骨に負担がかかりますので、注意しましょう。

✓皮膚炎
豊富な被毛を持つ犬種に多い病気です。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。

そのほか、以下のような病気に気をつけましょう。
 白内障…目の水晶体の一部や全体が白く混濁し、視力低下を引き起こす病気。
 緑内障…眼圧が増し、視野が狭くなるなどの症状が出て、悪化すると失明することも。
 進行性網膜委縮…網膜が変性・萎縮して正常に働かなくなり、視力が低下する病気。
 水晶体脱臼…水晶体を支えているチン小帯の欠損により、水晶体がずれてしまう病気。
 気管虚脱…気管が扁平に押しつぶされて呼吸が苦しくなる疾患。

✓ブラッシング：1週間に2～3回
✓シャンプー：1カ月に3～4回程度
✓トリミング：3カ月に1回

シーリハム・テリアは長い被毛を持つ犬種で、定期的にトリミングをしないと目が隠れるほど被毛が伸びてしまいます。シーリハム・テリアの毛色はホワイトがベースのため、汚れが目立ちやすく、日々のシャンプーやブラッシングも欠かせません。

ほつれや毛玉を防ぐために週2～3回程度のコーミング、月3～4回の全身シャンプーに加えて、特に汚れやすいおなかの毛は汚れ落としの軽いシャワーを小まめに行って清潔に保ちましょう。トリミングは3カ月に1度、全身の伸びてきた毛や、眼病予防のために目の周りの毛も定期的にカットしてもらいます。目の周りは飼い主のケアでは難しい部分ですので、プロにお願いしましょう。

ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

垂れ耳のシーリハム・テリアは耳のケアも必要です。耳の色やにおい、耳垢の様子を小まめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心でしょう。

歯みがきは毎日～3日に1回、爪切りは1カ月に1～2回の頻度で行います。肛門腺絞りのタイミングはかかりつけの獣医師に相談して実施してください。

また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。

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シーリハム・テリアと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。

✓暑さに注意！
イギリス・ウェールズ州原産のシーリハム・テリアは、日本の暑い夏が苦手で、夏場は徹底した熱中症対策が必要です。暑い季節は日中の散歩を避け、早朝や日没後など涼しい時間帯に出かけましょう。散歩中も保冷剤や水分補給用のボトルを持参して、熱中症にならないようにしっかりと予防してください。エアコンなどで温度調整できる室内で飼いましょう。シーリハム・テリアは室内飼いが基本です。

✓関節に負担の少ない床材を選ぼう！
床で足が滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。

✓定期的にブラッシングをしよう！
シーリハム・テリアのようなダブルコートの犬は毛が密生しているため、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、月に１度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗いすぎは禁物です。