ケリー・ブルー・テリアの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	ケリー・ブルー・テリア
英語名	Kerry Blue Terrier
原産国	アイルランド
分類	中型犬
グループ	3G：テリア

ケリー・ブルー・テリア【英語：Kerry Blue Terrier】は、アイルランドが原産の中型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、「3G：テリア」に属します。

ケリー・ブルー・テリアは、何世紀も前からアイルランドに生存していたと考えられています。存在が知られるようになったのは19世紀に入ってからで、“ケリー・ブルー・テリア”の犬種名は、アイルランドの南西に位置するケリー群の土着犬という意味で付けられました。

かつては、牧羊犬や警備犬、狩猟犬として活躍していましたが、1913年にドッグ・ショーに出陳されて1920年にクラブが設立されると、アイルランド愛国者のマスコット的存在として急速に人気が出ました。やがて、豊かな口髭と、柔らかで美しいブルーの被毛は世界中で愛されるようになりました。

体高：オスは45.5～49.5cm、メスは44.5～48cm
体重：オスは15～18kg、メスは体型に比例して軽い

ケリー・ブルー・テリアは中型犬に分類されます。

ケリー・ブルー・テリアの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭動物白書2021』によると、中型犬の平均寿命は13.4歳となっています。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ケリー・ブルー・テリアの毛色は、ブルーの色調であることとされています。頭、四肢、尾にブラックポイントがある場合もあります。

コートはテリアでは珍しいシングルコートで、ウェーブがかった被毛は密生し、シルクのように柔らかな手触りです。

体型はフォックス・テリアに似た体型で、すらっとして引き締まっています。横から見ると四角くがっしりとしていて、筋肉が発達したバランスのとれた体つきです。
豊かな口髭を蓄え、耳は前方に向かって垂れています。

ケリー・ブルー・テリアは、社交性があって飼い主に忠実です。家族を守ろうとする意識が強いため、番犬にも向いています。

またテリア種ならではの、頑固で自己主張が強い性質を持っています。犬同士のケンカでは決して引かず、特にオス同士はケンカになりやすいため注意が必要です。

さらにテリア犬種は穴を掘る習性があるため、庭などで自由に遊ばせる際には柵の下を掘って逃げ出さないように気を付けましょう。

ケリー・ブルー・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	※ブリーダーによる
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

ケリー・ブルー・テリアはペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。

また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくとよいでしょう。

他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。

母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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ケリー・ブルー・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ケリー・ブルー・テリアは運動量が多いので、とってこい遊び用のボールなどのおもちゃや、自由に走り回れるドッグランが近くにあると理想的です。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。ケリー・ブルー・テリアのお手入れに必要なスリッカーブラシやシャンプーなどのケア用品もそろえておくとよいでしょう。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。

そのため、ケリー・ブルー・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。

そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

ケリー・ブルー・テリアは、テリア種ならではの頑固さや気の強さからトレーニングが難しいといわれています。しかし、飼い主を喜ばすのが好きだったり家族を守ろうとする意識が強かったりするため、そのような特性を理解して、諦めることなく根気強く接していきましょう。

また縄張り意識が強いため家族以外の人には懐かないことが多く、番犬としては優秀ですがトラブルになる可能性もあります。興奮したときにコントロールできるようトレーニングする他、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

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✓散歩：１時間程度を１日２回
✓運動量：多い
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ボール遊び

ケリー・ブルー・テリアは猟犬出身でスタミナがあり、多くの運動量を必要とします。運動不足は問題行動の原因になりかねないため、十分に運動をさせる必要があります。

自由に走り回れるドッグランに連れていく、ボール遊びなどで運動量を確保するようにしましょう。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
中型の猟犬ということもあり、活動的で非常にスタミナ豊富な犬種です。一緒にスポーツを楽しみたい人や、毎日十分な運動ができる時間と体力のある人がよいでしょう。

✓テリア犬種の特性を理解し、しつけができる人
テリア犬種は、頑固で自己主張が強い性質を持っているとされています。そんな特性を理解して、辛抱強く付き合える人がよいでしょう。

ケリー・ブルー・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓小脳アビオトロフィー
小脳の神経細胞が少しずつ死んでいく遺伝性の疾患です。生後半年ほどで発症し、ふらつきや震えなどさまざまな運動障害が現れます。治療法はなく、病状は進行性です。

✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまうケリー・ブルー・テリアなどの小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は４段階に分けられ、重症の場合外科手術による治療が行われます。

✓目の疾患
ケリー・ブルー・テリアは遺伝的に目の疾患が多いといわれています。白内障や緑内障、進行性網膜萎縮症など、病気が進行すると失明する場合もあるので、定期的に目のチェックをするようにしましょう。

✓ブラッシング：2、3日に1回
✓シャンプー：１カ月に1回程度
✓トリミング：必要

ケリー・ブルー・テリアはシングルコートなので、被毛のお手入れはさほど手間がかかりません。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯みがきは毎日～3日に1回、爪切りは１カ月に１回の頻度で行います。肛門腺絞りのタイミングはかかりつけの獣医師に相談して実施してください。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

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✓小動物との同居に注意
小動物を追いかけて捕まえていた狩猟本能があるため、ハムスターなどの小動物との同居には注意が必要です。また小さな子どもがいるときも目を離さないように気を付けてください。

✓犬同士のケンカに注意
ケリー・ブルー・テリアはテリトリー意識が強く、他の犬とケンカになりやすいことがあります。特にオス同士は激しいケンカになりやすいため、ドッグランなど他の犬と一緒にいるときはトラブルにならないように目を離さないようにしてください。しっかりと犬の興奮をコントロールできるようトレーニングし、興奮しそうな状況は速やかに離れるようにしましょう。

✓事故予防にトレーニングはしっかりと！
ケリー・ブルー・テリアは番犬気質があり、テリトリー意識が強いため、家族以外に懐きづらく見知らぬ人には警戒心を強く持ちます。トラブルを避けるため、来客中はクレートやケージで安心して過ごせるようトレーニングをしておきましょう。