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2016年、愛犬の抜け毛100%から糸を紡ぎ、ブランケットやマフラーをお作りする「いぬのけテキスタイル」を創業。大好きな愛犬や愛猫の手ざわりを再現し続ける。
愛犬の毛で作った糸から、世界に1つだけのマフラーやブランケットに仕上げてくれるサービスがあります。その名も『いぬのけテキスタイル』。今回は『いぬのけテキスタイル』代表の唐木美帆さんに、商品化までの道のりや想いを伺いました。
目次
- 犬の毛を手紡ぎして、製品化する「いぬのけテキスタイル」唐木さん
- 愛犬の「抜け毛」の思い出から始まった、“いぬのけテキスタイル化プロジェクト”
- 犬の毛100%の糸だから再現できる「うちのこ」の手ざわり
- 「愛犬の個性」を最大限に引き出すための工夫
- 愛犬のぬくもりをいつまでも楽しめるテキスタイル製品。成長の記録としても人気
- 『いぬのけテキスタイル』が飼い主にもたらす「ブラッシング」の新しい価値
犬の毛を手紡ぎして、製品化する「いぬのけテキスタイル」唐木さん
「昔飼っていたわんちゃんをもう一度撫でたい」「愛犬が子犬の頃の毛をとっておけば」
大切な愛犬のことをふと思い返したとき、愛犬が大きく成長した姿を見たとき、こんな気持ちになったことはありませんか?
しかし愛犬の手ざわりをいつまでも残しておくのはむずかしいもの。写真や動画で姿を見ることはできても、ぬくもりは感じられませんし、なかには抜け毛を保管する方もいますが、管理が大変でしょう。
そんななか「うちのこの手ざわりをいつまでも楽しみたい」という願いを実現させているのが『いぬのけテキスタイル』の唐木美帆さんです。唐木さんは飼い主さんから預かり、愛犬や愛猫の毛をブランケットやマフラーなどのテキスタイル製品に形を変えて提供しています。
驚くべきは、犬の毛100%から糸を紡ぎ、商品を作っていること。「わんちゃん一匹一匹の個性を引き出すことを一番大切にしています」そんな気持ちを込めて作られた商品には、まさに「うちのこ」の手ざわりとぬくもりが再現されているのです。
愛犬の「抜け毛」の思い出から始まった、“いぬのけテキスタイル化プロジェクト”
——『いぬのけテキスタイル』では、どのような商品を提供しているのですか?
唐木美帆さん(以下、唐木):わんちゃんや猫ちゃんの抜け毛100%でブランケットやマフラーなどのテキスタイル製品を作っています。飼い主さんには「収穫バッグ」という袋に抜け毛を集めていただき、私たちはお預かりした抜け毛を使って、完全オーダーメイドで作っています。糸から製品までの全ての工程が手仕事によって仕上げているのが最大の特徴です。
——今までにありそうでなかった発想ですね。そのアイデアが浮かんだきっかけは何だったのですか?
唐木:自宅のリビングで過ごしている時に、何気なくテレビを付けると、換毛期のわんちゃんがブラッシングされている映像が流れていました。
その時、昔飼っていた愛犬のことを思い出し「換毛期ってふわふわで綿毛のような毛がたくさん抜けるよね!」「抜け毛すら愛おしいよね」と家族で話していました。
飼っていたわんちゃんはもう亡くなってしまったのですが、手ざわりや色合いまでとても愛おしく思っていました。「抜け毛を手元に取っておいて、何か形として残しておけたら素敵だよね」と話しているうちに、ふわふわの綿毛のような抜け毛から糸を紡ぎ、ブランケットやマフラー等のテキスタイル製品に仕上げるアイデアを思いつきました。
——いろんな形が考えられるなかで、なぜテキスタイル製品だったのでしょう?
唐木:繊維関係の仕事をしていたので、繊維やアパレルの製造に関する知識や経験がありました。まるで綿毛のようなチロの抜け毛の質感を改めて想い出し、自分たちの経験をもとに自然と「糸を紡ぐ」という発想に至りました。
——これまでのお仕事の知識や経験があったからこそのアイデアだったのですね。
唐木:そうかもしれません。テキスタイル製品は、人々の日常生活にとって大変身近な存在だと思います。わんちゃんの抜け毛が日常生活に溶け込み、生活の延長線上に自然に存在するようなものを作りたいと考えました。
ブランケットやマフラーをお膝や椅子等にかけたりして、いつもわんちゃんがそばにいてくれているようなぬくもりを感じてもらえたらいいなという願いを込めています。