ボーダー・テリアの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	ボーダー・テリア
英語名	Border terrier
原産国	イギリス
分類	小型犬
グループ	3G：テリア

ボーダー・テリア【英語：Border Terrier】は、イギリスが原産の小型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、「3G：テリア」に属します。

ボーダー・テリアは、スコットランドとイングランドの国境付近のボーダーズ地方チェビオト丘陵で作出されたイギリス最古のテリアです。祖先は、ダンディ・ディンモント・テリアやベドリントン・テリア、古いワーキング・テリアなどだと考えられています。

主にキツネを穴から追い出す仕事をしていたとされていて、家畜や食料を守るためによく働き、大型の猟犬にも引けを取らない脚力と疲れ知らずのタフな性質と、さらに家族に対してはとても従順なことから多大な信頼を得ていました。

大事に飼育されていたため他の地方へ出されることがなく、1920年になってようやく犬種として公認されました。現在でも、数百年前の性質をそのまま保持しています。

体高：オスは約23～28cm、メスは約21～27cm
体重：オスは5.9～7.1kg、メスは5.1～6.4kg

ボーダー・テリアは小型犬に分類されます。

ボーダー・テリアの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬全般の平均寿命は14.4歳となっています。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ボーダー・テリアの毛色は、レッド、ウィートン、グリズル・アンド・タン、ブルー・アンド・タンとされています。

コートはかたくて粗い針金状のダブルコートです。

四肢は力強く、体高より体長の方が少し長めです。頭部は広くてカワウソに似た素朴な表情が特徴です。短めの口吻（マズル）、耳はV字型で前に垂れており、尾は短く、皮膚は厚くたるんでいます。

ボーダー・テリアは活発で、強い意志を持った犬種です。

テリア種では珍しい温和な性格で、飼い主に従順です。子どもと仲良くできますが、他の犬に対しては厳しい一面があります。
小動物に対しては猟犬の本能が働くため、同居には注意が必要です。

またテリア犬種は穴を掘る習性があるため、庭などで自由に遊ばせる際には柵の下を掘って逃げ出さないように気を付けましょう。

ボーダー・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	※ブリーダーによる
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

ボーダー・テリアはペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。

また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくとよいでしょう。

他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。

母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。

犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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ボーダー・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ボーダー・テリアは運動量が多いので、取ってこい遊び用のボールなどのおもちゃや、自由に走り回れるドッグランが近くにあると理想的です。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。ボーダー・テリアはダブルコートのため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。

そのため、ボーダー・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。

そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

ボーダー・テリアは、トレーニングが得意な賢い犬種です。

しかしときにはテリア種ならではの頑固さや気の強さから、すんなりということを聞かないこともあるため、諦めることなく根気強く接していく必要があります。

また猟犬だったことから独立心が高いため、犬にとって飼い主が頼れるリーダーでないと判断されると指示を聞かなくなってしまうことがあります。毅然とした態度でリーダーシップをとるように意識しましょう。

他の犬に対して警戒心がある場合は、子犬の頃からたくさんの人や犬にも会わせて、多くの経験をさせることで過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

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✓散歩：30分程度を１日２回
✓運動量：多い
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ボール遊び

小型犬ですが、猟犬だったことからスタミナ豊富な犬種です。運動不足は問題行動の原因になりかねないため、十分に運動をさせる必要があります。
普段からの散歩の他、自由に走り回れるドッグランや、ボール遊びなどで運動をさせましょう。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
ボーダー・テリアは小型犬ですが、猟犬だったこともあり活動的でスタミナ豊富な犬種です。一緒にスポーツを楽しみたい人や、毎日十分な運動ができる時間と体力のある人がよいでしょう。

✓テリア犬種の特性を理解し、しつけができる人
テリア犬種は、頑固で自己主張が強い性質を持っているとされています。そんな特性を理解して、辛抱強く付き合える人がよいでしょう。

ボーダー・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓僧帽弁閉鎖不全症
老齢の小型犬に多く、心臓の僧帽弁が何らかの原因で変性してしまう疾患です。初期段階で症状はなく、検診で心雑音が確認されたり、ゼーゼーと喉がつかえるような咳をする、運動したり興奮すると倒れるなどの症状が出ます。予防や完治が難しく、心臓の負担を軽減するための投薬治療などを行います。

✓てんかん
脳疾患で、けいれんや意識障害などの症状が現れます。ほとんどの場合は遺伝的素因が関与していて、３歳までの若い時期に発症しますが、脳腫瘍や外傷などによって起こることもあります。予防は難しく、抗てんかん薬によって発作をコントロールする治療などを行います。

ボーダー・テリアがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
＞【獣医師監修】犬のてんかんの症状とは？種類や原因、発作が起きた時の対処法などについて解説
＞【獣医師監修】犬の心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」の症状や治療法とは？

✓ブラッシング：2、3日に1回
✓シャンプー：１カ月に1回程度
✓トリミング：不要

ボーダー・テリアのかたい被毛のお手入れは、獣毛ブラシを使ってブラッシングをします。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯みがきは毎日～2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週～１カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

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✓小動物との同居に注意
小動物を追いかけて捕まえていた狩猟本能・追跡衝動があるため、ハムスターなどの小動物との同居には注意が必要です。また小さな子どもがいるときも目を離さないように気を付けてください。

✓脚・関節に負担をかけない
疲れ知らずでタフな犬種ですが、脚や関節への負担が大きいと股関節形成不全のような深刻なケガにつながります。自宅でも活発に動き回るので、身体への負担をできるだけ減らすために、滑りにくい床材にしましょう。

✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに！
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。