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美文字は意外と簡単!? 生粋の字汚人(じおんちゅ)が書道家にキレイな文字の秘訣を聞いてみた
大人になり、手書き文字を書く機会がグッと減った方は多いはず。たまに自分の文字を見返すと、「あれ、なんか下手じゃない……?」とショックを受けた経験はありませんか? そこで今回は「字をキレイに書きたい!」と望むライターのたかやが、書道家・大江静芳(おおえせいほう)さんに美文字のコツを教わります。
字、汚いな~~~。
大人になるとコミュニケーションはオンラインがメインになり、手書き文字を書く機会はグッと減りました。
そんな中、会議中にとった手書きのメモを見返したときに、「予想以上に自分の字が下手だ……」と感じた人も少なくないでしょう。
大人になると文字の書き方を人から教わる機会が一切ないため、義務教育以降から自分の書く文字のスタイルが変わらないんですよね……。
そこで、美文字のプロをお招きして
・美文字を書くためのコツや意外な注意点
・美文字を書きたい方におすすめのハンズで買えるボールペン
などについてお話を聞きました。
教わったポイントはどれもすぐ実践できるモノばかりです。 「自分の手書きの文字に自信がない……」「“大人っぽい美文字”を書きたい」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。
大江静芳(おおえせいほう)さん
書道家。9歳から書道を始め、大学卒業後自身の書道教室「静芳書塾」を開塾。 2020年に解説したYouTubeチャンネルでは登録者数11万人を突破。個人・企業向けのペン字講座講師、ロゴ提供、各種筆耕などでも活動中。<著書> 「8つのコツでみるみる美文字」講師/NHK出版 今日から美文字/エクシア出版
たかや(筆者)
フリーのWebライター。職業柄、手書きの文字を書く習慣はほとんど無い。
小学生のころから自分の字が汚い自覚があり、大人になったいまも改善されていない。
字が汚ければ笑顔も汚い。
美文字のコツを理解すれば、簡単に美文字を書ける!
大江さん
はい。大丈夫ですよ。
たかや
大江さんに書いていただく文字は「こんにちは ライターのたかやです」と「水曜日のハンズ」さんの2つです。万が一、プロを名乗る大江さんが僕より下手だったら……。あちゃちゃ~!
大江さん
お会いして5分も経ってないのに煽ってきますね……。
さっそく書いてもらいます
スラスラスラ……
たかや
うわうわうわ……。
大江さん
書けました!
たかや
キャ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!
たかや
マジ美文字!!!!!!!!!!!
大江さん
ありがとうございます!
たかや
こうして並べてみると、力の差が一目瞭然だ……。
たかや
ボク、小学生のころからず~っと字が汚いんですよ。長年に渡って染みついた己の字を、この歳で矯正するのはさすがに無理だと諦めてるんですが……。
大江さん
そんなことはありません。美しい文字には“法則”や“コツ”が存在します。それを理解するだけで、文字は劇的に変化するんです。
たかや
じゃあ、そのコツなどを学べば、僕のような字汚人(じおんちゅ=字の汚い人)でも改善できると?
大江さん
もちろんです!
たかや
心強い! では美文字のコツを教えてください!
字を書く前のポイント1・ペンの持ち方は「つまんで 添える」
まずは「ペンの持ち方」や「揃えるべき道具」について教わります。
大江さん
「親指と人差し指でつまんで、あとの3本は添えるだけ」。これが、美しい文字を書くための正しいペンの持ち方です。
たかや
あっ、たしかに。3本の指は添えているだけだから、ペンを持つ手にも余計な力が入らない。
大江さん
「キレイな字を書くぞ~」と意識すると、緊張のあまりペンをギュッと握りしめてしまいますよね。ペンを持つときは「つまんで、添える」を意識してくださいね!
「利き目のちょうど真下に字を書く手元がくる」が、字をキレイに書くための姿勢!
字を書く前のポイント2・ オススメ道具
たかや
美文字を書くために、ペンはどういったモノを選べばいいんでしょう。
大江さん
0.5~1.0mmぐらいの太めのペンがオススメです。線が太いほうが筆圧の強弱がハッキリと現れるので、「とめ・はね・はらい」が美しく見えるんですよね。
大江さん
そして、意外と大事なのは「硬筆用の下敷き」です。
たかや
硬筆用の下書き……? 普通に机の上でそのまま書くのではダメなんですか?
大江さん
では、まずはそのまま何も敷かない状態で文字を書いてみてください。
たかや
わかりました。
たかや
ひぃ~。線がガタガタだ……。
大江さん
では、次に硬筆用の下敷きを敷いて書いてみてください。
たかや
うっっっわ!!! んだこれ!!! めちゃくちゃ書きやすい!!!
大江さん
ですよね。硬筆用の下敷きは材質がゴムマットに近く、厚みもあるので美文字を書く上で重宝します。
たかや
ペン先を止めたいところでピシッと止められるし。線がヒョロヒョロになることもない。これ、字を書く上でマジであったほうがいい!
美文字のポイント1・横線は3種類を使い分け
たかや
では、次に美文字を書くためのコツを教えてもらえますか?
大江さん
まず一つ目は、「3種類の横線を使い分ける」ことです。実は、漢字の横線って、3種類しかないんです。
たかや
??? どゆこと???
大江さん
こちらの「三」を見てください。同じ横線でも、それぞれ形が微妙に違いますよね。
たかや
たしかに。
大江さん
それぞれの形の説明をすると、
1.下に反ったアーチ形……漢字のいちばん上の短い横線はおおむねこの形で書くとよい
2.まっすぐで短め……漢字の中間の線は、この形
3.上に反ったアーチ形……いちばん下の横線はおおむねこの形。また、両端の2点の高さを揃える
大江さん
となっています。
たかや
ほ~お?
大江さん
横線が複数ある漢字の場合、この「3種類の横線」を用いれば、字にメリハリが生まれて美しく見えますよ。
たかや
たしかに僕が書いた「三」は、横線の向きも長さもバラバラだ……。
大江さん
横線が複数ある漢字のほとんどに、この組み合わせが応用できます。漢字の「王」とか「羊」とか「青」とか。
たかや
なるほど! じゃあ、僕が一番好きな漢字で書いてみると……
大江さん
金。
たかや
おおっ。3種類の横線を使い分けただけで、一気にキレイになったかも!
たかや
でも、たとえば「拝」みたいに“横線が三種類ではない字”はどうすれば……?
大江さん
基本的に、一番上の横線が「1」、間に挟まれた横線が「2」、一番下の横線が「3」と覚えればOKです。
たかや
なるほど〜。
美文字のポイント2・主画(しゅかく)を作る
大江さん
続いてのポイントは「主画を作る」です。
たかや
しゅかく…?
大江さん
主画は、「文字の主役となる線」のことです。
大江さん
たとえば、たかやさんに書いてもらった「幸」は、横線の長さがどれも同じで、どこかメリハリが足りないと思いませんか?
たかや
そう言われると……。
大江さん
そこで、横線が複数ある文字は、どれか一本を長く伸ばすことで美しくなります。
たかや
線が一本伸びるだけで、印象がぜんぜん違う!
大江さん
これが「主画」です。漢字を書く時に、しっかり伸ばす一本を決めることで、より一層きれいに見えるようになります。
たかや
「漢字の一部を伸ばして引き立たせる」って発想は無かったので、目から鱗です。
大江さん
また、「木」や「香」のように左払いと右払いがある文字は、左右の「はらい」が主画になります。
たかや
え~っと。じゃあ、僕がなによりも愛している漢字で書いてみると……
大江さん
金。
たかや
おお! 「はらい」を伸ばすことで、一気に雰囲気が出ますね。
たかや
でも……。「はらい」は分かりやすいけど、それ以外の漢字の「主画」はどうやって決めればいんでしょう?
大江さん
「線を一本を伸ばして、全体の形が『ひし型』に近くなる」をイメージすると、主画も見つけやすいです。
たかや
なるほど〜。
大江さん
ただ、主画に明確な正解はありません。どこを伸ばせばいいか迷う場合は、試しに何パターンか書いてみるのが一番です。
美文字のポイント3・へんとつくりの比率を意識
大江さん
へんとつくりの比率を意識するのも、美文字を書く上で大切なポイントです。
大江さん
たかやさんに書いてもらった、この「曜」「礼」「期」。へんとつくりの比率を調整すると、もっとキレイになりますよ。
大江さん
こうです!
たかや
おぉ~。
大江さん
へんとつくりのベストな比率は、「1対2」「1対1」「2対1」の3パターンです。例外はありますが、へんとつくりから成るほとんどの漢字は、このどれかの比率に当てはまります。
へんとつくりの比率が「1対2」
へんの画数がつくりの画数より少ない文字は、「1対2」の比率がベスト。「曜」「洗」「持」など
へんとつくりの比率が「1対1」
へんとつくりの画数がだいたい同じなら、「1対1」の比率がベスト。「礼」「竹」「私」など
へんとつくりの比率が「2対1」
へん画数がつくりより多い文字は「2対1」の比率がベスト。「期」「割」「都」など
大江さん
この黄金比を理解した上で漢字を書くと、より美しい字になるのでぜひ覚えてくださいね。
たかや
めっちゃ分かりやすい。
大江さん
ちなみに「街」みたいな縦3つに分かれる漢字は、「1対1対1」の比率でバランスを取れば大丈夫です!
美文字のポイント5・ひらがなの結びは『止め』を意識
たかや
僕、ひらがなも苦手なんですよね。なんなら、ひらがなのほうが苦手意識が強いかも……。
大江さん
ひらがなは漢字と違って曲線が多いから難しいですよね。その場合、「結び」の部分を直線的に書くと美しくなります。
たかや
あっ。大江さんの書いたひらがなは、丸い部分が直線になってますね。
大江さん
そうです! 「結び」とはひらがなの「くるっ」と交差している部分のことを指します。ひらがなの結び部分は曲線で書いてしまいがちですが、そうなると文字の印象がなんとなく締まらないんです。「くるっ」と丸く書くのではなく、直線で結ぶことにより、全体がキリっと引き締まります。
たかや
丸っこい部分をカクカクにするだけで、一気に見違えますね。すごい。
大江さん
そもそも、ひらがなは漢字が変化したものなんですよ。ひらがなを書くときには、元となった漢字を意識するのが美文字のコツです!
「乃→の」「末→ま」「寸→す」
「比→ひ」「毛→も」「也→や」
美文字のポイント5・漢字とひらがなは10:8
たかや
最後に、文章を書くときのコツをお聞きしたいです。
たかや
冒頭で大江さんに書いてもらった「水曜日のハンズさん」「こんにちは~たかやです」は、めちゃくちゃキレイでしたよね。ああいうキレイな一文を書くにはどうすればいいんでしょうか。
大江さん
やっぱり大事なのは、「中心線を揃える」ですね。
大江さん
ひとつひとつの文字がキレイでも、中心線が揃っていないだけでゴチャついた印象を与えてしまいますからね。これは縦書き、横書きに関わらず共通です。
大江さん
もうひとつ大切なことは「ひらがなは漢字よりも小さめ」を意識すること。ひらがなを小さく書くと、文章に強弱のリズムが生まれて読みやすくなるんですよ。
たかや
僕の書いた文章、漢字とひらがなの大きさが均等だから、「小学生っぽい文章」になってたのか……。
大江さん
具体的には、「漢字10:ひらがな8」の大きさでイメージすると良いです。
たかや
そういう具体的な比率で教えてくれるのほんと助かる。
たかや、再挑戦
教えてもらった美文字のコツをもとに、たかやが「こんにちは ライターのたかやです」に再挑戦します。
たかや
え~っと……。ペンはつまんで 添える……中心線を意識……。
大江さん
良いですね! たかやさん、飲み込みが早いです!
たかや
ありがとうございますぅ(泣)
たかや
書けた~!
たかや
おおっ。けっこう改善されてますよね!? もちろん、まだまだ汚いけども…。それでも、たった1時間アドバイスをもらっただけで、コレですよ!?
この「す」、自分史上、一番キレイに書けた…。字がキレイに書けるとめちゃくちゃ嬉しいな。
まとめ:コツを理解するだけで、誰でも美文字に!
今回、大江さんに教わった「美文字のコツ」をおさらいすると……
ポイント
・ペンの持ち方は「つまんで添える」
・ボールペンで美文字を書く場合、0.5~1.0㎜の太さがオススメ
・硬筆用の下敷きはぜったいにあったほうがいい!
・3種類の横線を使い分けるだけで、メリハリが出て美しい漢字になる
・漢字は主役となる線(=主画)を見つけよう
・へんとつくりの黄金比(3種類)を意識しよう
・ひらがなの結びは直線で書くべし!
・文章を書くとき、漢字:10。ひらがな:8の大きさで書くと見栄えがよくなる
です。どれも、自宅ですぐ実践できるものばかりなので、ぜひ試してください!
この記事を読んで、もっと美文字のコツを知りたくなった人は、大江さんのYouTubeチャンネルや書籍も目を通してくださいね!
実際、字がキレイな人の手元を見てるのって、かなり気持ちが良いです。眼福とはこのこと。
取材後……
僕も、ハンズで購入できる大江さんオススメの美文字文具を購入しました。
これから字の練習をして、もっと美文字を目指すぜ~!
ハンズでは文具ラバー待望の「文具祭り」を今年も開催!(2024年2月13〜2024年4月12日)
たかや
よろしくお願いします! まずは、大江さんの実力を拝見させてもらってもよろしいでしょうか。