平成女子を虜にした『デコりペン』の現在は? サクラクレパスに聞いたら意外すぎる答えが返ってきた!

「ティアラ」や「アクアリップ」など、平成ティーンを虜にしたサクラクレパスの「デコりペン」たち。発売から20年以上が経過した今、「デコりペン」の現在の姿はどうなっているのでしょうか? サクラクレパスに聞いたところ、意外な答えが返ってきました……!

平成ティーンのノートを彩ったサクラクレパスの「デコりペン」

ボールサイン 「ティアラ」「アクアリップ」「フチドール」「ムーンライト」「スフレ」……。

ボールサイン フチドール
ボールサイン フチドール

ある特定の世代が聞けば、一瞬で小中学校時代の思い出が蘇ってくる、まるで呪文のような言葉たち。

これら、サクラクレパスの通称「デコりペン」は、1997年に誕生した「キララ」(在庫限りで販売終了)を最初に、平成ティーンの心を鷲掴みにしました。

その魅力はなんといっても、豊富なカラーバリエーションとキラキラな発色。ノートやお手紙、交換日記にプリクラ帳、写真まで……。書けるものなら何でもデコりまくり、平成ティーンにとって、友達とのコミュニケーションには欠かせない存在と言っても過言ではありませんでした。

平成ティーンのノートを彩ったサクラクレパスの「デコりペン」

そんな「デコりペン」ですが、大人になるにつれ、使う機会はすっかりなくなってしまいました。発売から20年以上が経過した今、「デコりペン」の現在の姿はどうなっているのか、気になります。今も変わらず、当時の姿のままなのか。令和ティーンの人気者として、ノートをキラッキラに彩っているのでしょうか……。

そんな疑問をサクラクレパスの担当者であるマーケティング部・商品企画一課の白澤沙樹さんにぶつけてみたら、意外すぎる答えが返ってきました……!

サクラクレパスの「デコりペン」は20年以上姿を変えていない?

サクラクレパスの「デコりペン」は20年以上姿を変えていない?
ボールサイン ティアラ

──「ティアラ」「アクアリップ」「フチドール」などは、現在どんな姿をしているのでしょうか? 20年以上も経っていると、知らないうちに大幅リニューアルをしているのではないかと思いまして……。

リニューアルなどはしておらず、今でも当時と変わらぬ使い心地をキープしています。

ただ、市場やお客様の変化により、人気の色味に限定して、キャップタイプだったものをノックタイプにしてより使いやすく、などといったバリエーションの変化はありました。

ボールサインノック
ボールサインノック

ニーズの変化による売上の衰退。だけど海外では好調!

──今でも当時と同じ使い心地を楽しめるんですね! リニューアルをしない、というのはあえての選択なのでしょうか?

20年前の小中学生と今の小中学生とで比べると、スマホの登場で友達同士での手紙文化が衰退している傾向にあり、昔と比べると、文房具に対するニーズが変わってきたという背景があります。

一方、もともと使っていた世代は20〜30代になって、今度は手帳を持ち始める方が多くなりました。手帳の装飾にこだわりたい方は、デコレーションに付箋やいろんなシール、マスキングテープなどを使います。当時、デコりペンに向いていた興味の対象が、他の商品に移ったというのも理由として挙げられます。

──では、当初に比べると、売上も減ってきているということでしょうか……。

そうですね。販売数だけで見ると、減っていっている状況ではあります。ただ、今も変わらずコアなユーザーには多く使っていただいていますし、当時使っていた方が親世代になって、お子さまに受け継がれ、ユーザーの層が広がっているケースもあります。

あとは、日本国外のユーザーに多く使っていただいていて、海外ではかなり好調なんです。

──海外でも人気なんですね!

海外ではメッセージカードの文化が一般的で、イラストやカリグラフィーなど、趣味で文房具を使う方、いわゆる“ホビー人口”が日本よりも大きいのが要因だと考えています。

エリアはアジア、欧米を問わず、さまざま地域の方に使っていただいています。

──主にどのような点が支持されているのでしょうか。

品質の高さを評価していただくことが多いですね。特にインキについては、発色がかなり良いとの満足のお声をいただくので、その点が人気のポイントなのではないかと考えています。

手紙文化の衰退。文房具は「書く楽しさ」に加え、「SNSでシェア」する時代に

手紙文化の衰退。文房具は「書く楽しさ」に加え、「SNSでシェア」する時代に

──平成の終わりから令和で新しく誕生した「デコりペン」ってあるのでしょうか。

ニーズの変化という点で、ここ数年ではデコりを目的とした文具の発売はしていないんです。ティーン向けの文具で挙げると「レトリコ」というシャーペンと消しゴムを2018年に発売しました。

レトリコ
レトリコ

最近はSNSが普及したことで、自分の勉強風景や勉強グッズを撮り、「#勉強垢」というハッシュタグを付けてシェアしたり、勉強の記録をするのがティーンの間で流行っています。その中で、「可愛い文具を持ちたい」というニーズに合わせて誕生した商品です。

「レトリコ」はカラフルなカラーバリエーションと、デザインを統一したシャーペンと消しゴムでの商品展開が魅力です。自分好みに色を組み合わせ、机の上に並べてかわいくコーディネートができますよ。

──文房具に対するティーンの興味は、手紙を書いてデコレーションする目的から、その商品自体をSNSでシェアする方へ移り変わっているのですね。

調査をしたわけでないのですが、実感として、10〜20年前に流行っていた手紙交換や、そういった紙でのコミュニケーションは明らかに減っていると思います。

ただ、友達同士でのコミュニケーションがほとんどスマホに移り変わったという現状の中で、文房具の存在が薄くなったかというとそうではなくて。今の世代はSNSを通じて自分の持ち物を見てほしいという気持ちがあり、「レトリコ」といったような商品に繋がっていると考えています。

「キラキラペン」を愛した世代は今、「6色の黒」を楽しんでいる

「キラキラペン」を愛した世代は今、「6色の黒」を楽しんでいる

──「デコりペン」ど真ん中だった世代は今、どんな文房具を愛用しているのでしょうか。

その世代の方々ですと、「ボールサイン iD」というボールペンが人気です。

これは黒を6色のカラーバリエーションで展開したもので、大人になって仕事などで手帳を使うようになった方などからすごく好評をいただいている商品なんです。

全6色の黒インキ

──6色の黒、ですか?

大人になってから、キラキラしたペンよりも、黒を使う場面が圧倒的に多いですよね。黒一色だけでなく、ブルーブラックやレッドブラックなどのバリエーションを持たせて、「黒」の中でもこだわりたいという人に向けて発売しました。

最近、アイライナーやアイブロウなど、コスメでもブラックカラーの幅が広がっていますし、スーツなんかでも、黒からブラウンにかけて、いろんなラインナップがあります。それをボールペンでも実現したらいいのでは、と考えたんです。

──「黒を楽しむ」ということですね! その発想はなかったです。

子どもの頃、授業中にカラフルでキラキラなペンを使って楽しかった経験って、たくさんの人があると思います。大人になっても、働いている時に好きな黒を使うことで、少しでも気分が上がればいいな、という思いがあります。

──実際に、お客様からの反響もあったのでしょうか。

今までの商品と比べてもかなりの数、SNSを中心にご好評の声をいただきました。発売当初、1人当たり1色2色での購入を予想していたのですが、「日々の気分で変えたい」と全色買いしてくださる方が多く、すごく驚きました。

仕事用とプライベート用で使い分けて、自分にしかわからない色分けを楽しんでいただいているようです。

──昔は友達に向けて手紙をキラキラにデコレーションしていたのが、大人になって自分にしかわからない微妙な違いを楽しむようになったのですね。

今はリモート化も進んでいますし、職場では対人向けの資料など、デジタルで済むことが多いこともあり、自分自身が使って楽しいというのがポイントになるのかもしれません。

ボールサイン iD

「デコりペン」はもはやレトロ!? 今は「スタイリッシュさ」が主流の文具たち

「デコりペン」はもはやレトロ!? 今は「スタイリッシュさ」が主流の文具たち

──昔人気だった「ティアラ」や「アクアリップ」と、今人気の「レトリコ」や「ボールサインiD」を比べると、かなりデザインに違いがありますね。昔は丸みがあったものが、今はシュッとしています。

今のデザインとしては、スタイリッシュな見た目がかなり人気ですね。ただ、逆に「ティアラ」のような丸みがあってキャップタイプの商品も、「レトロでかわいい」と好まれる方も一定数いらっしゃるので、どちらのデザインも共存していくのではないでしょうか。

──なるほど、もう「レトロ」になるんですね。小学生の当時はすごく新鮮なデザインだったのですが……。

発売時の商品担当ではないので定かではありませんが、当時に出ていた携帯電話やブラウン管モニターのパソコン、テレビなんかも今思い返すと丸みがあるものが多いので、そこはやっぱり時代に合わせたデザインに合わせているのだと思います。

反対に、今世の中に出回っているものを見ると、スマートフォンやノートパソコンなど、スタイリッシュなものが多いですから。

──では、「レトリコ」や「ボールサインiD」もまた、20年後にはレトロ文具として愛される時代が来るかもしれないということですね……!

はい、そうかもしれないですね。

今後もユーザーのニーズに合わせ、時代にマッチした商品づくりを

──今後「デコりペン」の展開が広がっていくことってあるのでしょうか。

「ティアラ」「アクアリップ」「フチドール」などの商品は、今後大きく展開していくよりも、今も売れている売れ筋商品だけに絞って販売していく予定です。

主軸としては先ほど紹介した「レトリコ」や「ボールサインiD」など、今の時代に合っている商品の品揃えをどんどん強化していきたいと考えています。

──うう……。もう、「ティアラ」「アクアリップ」「フチドール」たちの進化が見られないのはとても悲しいですが……。次世代の文房具たちの活躍に期待しています!

※売り切れの場合はご容赦ください。店舗により取り扱いが異なる場合がございます。一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。価格は撮影時点の情報です。

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