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20代はドッグトレーナーとして活動。アラスカでホッキョクグマやオーロラの撮影をきっかけに写真家として活動開始。2021年春に北海道標茶町の元オオカミの森へ移住。
北海道の標茶町(しべちゃちょう)という町の外れにある『オオカミの森』に住む、中道智大さんと愛犬たち4頭のくらしとは?
目次
- 愛犬4頭と北海道の標茶町に移住した、写真家・中道智大さん
- 獣医師の道に挫折し、ドッグトレーナーを目指す
- 「犬を変えたければ、自分が変われ」ドッグトレーナー時代の教訓
- 30歳の節目で転機。『オオカミの森』との出会い
- 「生きたいように生きる」アラスカのオーロラの空に誓う
- 自然と調和しながら、北海道で愛犬たちと暮らすことを決める
- 自分にはやっぱり犬が必要。やっと見つけた自分らしい生き方
愛犬4頭と北海道の標茶町に移住した、写真家・中道智大さん
かつて『オオカミの森』と呼ばれた土地に、4頭の犬の群れを率いて移り住んだ男性がいます。
『オオカミの森』とは、北海道標茶町虹別にある、野生動物研究家の桑原康生さんが立ち上げたオオカミの生態を伝えるための施設です。野生動物の中で、特にオオカミに魅了された桑原さんは、オオカミにまつわるネイチャースクールを開催していました。
現在、桑原さんから森を引き継いでそこに暮らすのは、写真家の中道智大さんです。そして中道さんが率いる群れは、個性的な4頭の犬たちで構成されています。
優しく聡明な長女、ラブラドールレトリバーの楽ちゃん。
群れのリーダーであり頼れる長男、シェパードのドンくん。
能天気でマイペースな次男、ボルゾイのラフィキくん。
心優しい末っ子、ビーグルのぼすけくん。
まだオオカミたちの息遣いが残る7,000坪の広大な土地で、のびのびと暮らす犬たち。ここに至るまでの長い道のりとこれから向かう先を、中道さんにうかがいました。
獣医師の道に挫折し、ドッグトレーナーを目指す
「動物系のテレビ番組が大好きで、幼い頃はよく父の膝の上に座って一緒に見ていた記憶があります」
父親の影響で、幼いころから自然や動物に夢中だった中道さん。よく父親と動物園へ行ったり、図鑑を見たりしていました。そのうち、動物に関わる仕事に就きたいと考え、獣医を目指して猛勉強をします。
「でも獣医学部への受験に失敗してしまって……浪人もしたんですけど、やはりダメで。どんなに頑張っても自分には無理だってわかったんです」
獣医師を諦めた中道さんでしたが、やはり何か動物と関わる仕事をしたいという気持ちが消えませんでした。そんな時、ドッグトレーナーの養成専門学校の募集を見かけたことをきっかけに、ドッグトレーナーとしての道を歩み始めます。
トレーナーになり、迎えた愛犬がラブラドールレトリバーの楽(らく)ちゃんです。
「自分でマイドッグを育てるというのが、多くのトレーナーたちの夢の1つです。実家にも犬がいたことはありましたが、自分の愛犬という意味では楽が初めての子でした。」
ドッグトレーナー学校の教員にもなり、生徒たちのお手本になりたいという想いで迎えた楽ちゃん。生後2ヶ月の子犬の頃からともに過ごし、中道さんとも相性が抜群だったとか。
「ラブラドールレトリバーには、ショータイプとフィールドタイプの2種類がいます。ショータイプは、ガッチリとした体格で家庭犬として一般的です。フィールドタイプの方は日本には少なく、ショータイプよりも身体や顔がスリムで、警察犬などのお仕事に就いてきた種類です。そのため訓練に適している性質があります。楽は、フィールドタイプでした」
楽ちゃんは、中道さんの気持ちを汲み取ってくれる、まさに「いい子」。しつけで苦労した記憶もほとんどないといいます。中道さんが楽しむことを一緒に楽しんでくれるので、フリスビーやアジリティの大会にも出場しました。