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超巨大化した世界線で動物を描く、ペット専門のイラストレーター。Twitterに投稿する犬のイラストがきっかけで話題になり、予約が殺到している。
「日本で一番たくさん犬の絵を描いている」とも言われるほど、いま大人気のペットイラストレーターsakioさん。巨大化した犬のイラストを描くようになったのは、犬への愛情も大きいからだった?
目次
- 「もしも愛犬が巨大化したら…」という世界観でイラストを描くsakioさん
- 「犬のサイズ=愛の大きさ?」依頼主に言われて気づいた作品の魅力
- Twitterに投稿するも反響なし。ペットイラストレーターになるまでの下積み時代
- イタリアン・グレーハウンドの「透け耳」との運命の出会い
- 3年半後まで予約がいっぱい! 愛犬のイラスト化が殺到する理由
- 企業との犬イラストのコラボ実績は、過去の依頼主への恩返し
- 愛犬のイラストを描くことで、愛犬としっかり向き合える
「もしも愛犬が巨大化したら…」という世界観でイラストを描くsakioさん
巨大な犬の頭の上に小さな新郎新婦が描かれた結婚式のウエルカムボードや、巨大な愛犬の腕の上で4人家族が寝転んでいるイラストなど、犬が巨大化した世界を描く独自の作風で大人気のイラストレーター・sakio(さきお)さん。
イラストとは思えない、まるで生きているかのようにリアルな犬の質感に定評があります。今やtwitterのフォロワーは6万人を超え、個人からのイラスト制作依頼は約3年半待ち。
企業とのコラボ商品も相次いで発売され、「今、日本で一番たくさん犬の絵を描いているイラストレーター」とも言われています。
飼い主と愛犬との思い出を形に残すため、毎日一人で制作作業に取り組んでいるsakioさんですが、イラストレーターとして独立する3年前までは普通の会社員でした。
子どものころから絵を描くのが好きだったものの、ずっと趣味で怪獣の絵を描いていたそうです。
sakioさんはなぜ、犬の絵を描き始めたのでしょうか? そしてsakioさんの描く犬たちは、なぜ、あんなに巨大なのでしょうか? イラストに込めた想いを聞いていきます!
「犬のサイズ=愛の大きさ?」依頼主に言われて気づいた作品の魅力
——sakioさんはご自身の絵を「お家の子が超巨大化した世界線」と紹介していらっしゃいますが、なぜ、こんなに巨大に描くようになったのですか?
sakio:気が付いたら、このサイズで描くようになっていたので、はっきりとした理由は自分でもわからないのですが、僕は子どもの頃から怪獣が大好きで、よく巨大な怪獣のイラストを描いていたので、その影響かもしれません。
——怪獣、ですか?
sakio:小学生の時に恐竜から始まり、そこからゴジラやウルトラマンの怪獣に魅了され、中学生で出会ったモンスターハンターで、更に深く怪獣やモンスターの世界へのめり込んでいきました。
——なるほど、だから今の作品も“巨大化”が共通テーマになっているのですね。
sakio:そうなんです。あと、これはお客様から指摘されて気づいたのですが、僕が描く犬が巨大なのは、僕にとっての犬の存在がすごく大きいからかもしれません。
僕の絵を好きになってくれる人もきっと同じで、心の中に占める犬の存在が大きいから、あの現実ではありえないサイズ感の愛犬のイラストを喜んで受け入れてくれるのかもしれないなぁと思っています。
——あの巨大な犬の姿は、犬への愛の大きさを表現しているということなんですね。
sakio:そうですね。物心ついた頃からずっと犬と一緒に暮らしてきて、もはや犬のいない生活は考えられないですし、いま僕がこうやって好きなイラストを描いて生活していけているのも、すべて犬のおかげ。
その感謝の気持ちとか愛しい気持ちとかが無意識に膨らんで、犬の巨大化に繋がったのかもしれないです。
Twitterに投稿するも反響なし。ペットイラストレーターになるまでの下積み時代
——sakioさんはいつ頃からイラストを描くようになったのですか?
sakio:イラストは子どものころから描いていて、将来はゲーム会社でキャラクターデザインの仕事をしたいと思っていました。
——もともとはゲーム会社への就職を目指されていたのですね。
sakio:はい。そのために高校時代から画塾に通い、芸術大学に進学して描き続けていたのですが、残念ながら希望するゲーム会社には入社できず……就職浪人までしたのですが、2回目の就活にも失敗してしまいました。
やむを得ず大手メーカーに就職して、イラストとは全然関係のない仕事を約6年していました。
——会社員のご経験もあったとは驚きです……!
sakio:そうなんです。それでも会社に通いながらイラストは描き続けていて、仕事の合間に描いた作品をtwitterに投稿したり、イラストレーターをしている大学時代の先輩のアシスタントをしたりして、イラストを仕事にすることができないか、チャンスをうかがっていました。
——ゲーム会社への転職は考えなかったのですか?
sakio:周囲にゲーム会社に就職した人がいて話を聞いているうちに、なんとなく自分には向いていないことがわかってきたんですよね。
同時に、イラストレーターの先輩の仕事ぶりをみて、僕がやりたいのはこっちだなって思ったんです。
——sakioさんのやりたいことは、一体どのようなことだったのでしょう?
sakio:組織で作品を作るのではなくて、人のために描くというか、「こういう絵を描いてほしい」って頼まれたものを相手と話し合いながら描いていくほうが、自分には向いているなって気付いたんです。
それで、改めてフリーランスのイラストレーターを目指し、作品をtwitterに投稿するなどして細々と活動をしていました。
——当時の反響はいかがでしたか?
sakio:反響はほとんどなかったですね……。お仕事と言えるほどのものも全くなく、心が折れそうになるような時期が何年も続きました。
——そうだったのですね。当時は、どんな絵を描いていたのですか?
sakio:ひたすら怪獣の絵を描いていました(笑)。やっぱり好きなんですよね、怪獣。頑固な性格なので、反響がなくてもひたすら怪獣を描き続けていたんです。
まだ当時は犬をイラストで描きたいという気持ちが芽生えていなくて、かなりの期間くすぶっていました。